Hearts/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

5. Hearts

これも80年か81年のマーティバリンのヒット曲。自分も確かアナログ盤のシングルレコードを持ってる。当時流行っていたAOR(Adult Oriented Rock)というポップで聴きやすいロック。

このあたり、桑田さんも当時の自分達と同じ目線で普通にヒット曲を楽しんでいたんだろう。

この稿のためにマーティバリンと桑田さんのを続けて聴いて初めて気づいた!桑田さんには珍しく、キーを下げて歌っている。

Say goodbye to Hollywood /サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

4. Say goodbye to Hollywood 

誰もが知っているビリージョエルの名曲。当時からよく知ってた曲なので、これがライブで聴けたのは超レアな体験。

これも確か80年か81年のライブアルバム“Songs in the attic”に入っていた。

楽しんで演奏してる様子が伝わってくるけど、この曲にはやっぱりビリージョエルの伸びやかなボーカルがよく合ってるなぁって感じる。

Stay/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

3. Stay

このアルバムの楽しみの一つに、全編カバー曲なので、知らない曲はオリジナルを見つけて比べてみることがある。

この曲はオリジナルを見つけるのに一番苦労した曲かもしれない。昔はネットで検索、なんて便利な手法もなかったし。

これは80年頃のジャクソンブラウンの大ヒットアルバム「孤独のランナー〜Running on empty」に収録されている曲で、年代からして桑田さんもそれを聴いたのではないかと推測するが、調べみると、63年にフランキーヴァリ&フォーシーズンズが歌っていて、こちらの方が桑田バージョンに近い。さらにオリジナルはどうやらダイアモンズというグループらしい。

ゴキゲンなR&Bナンバー♪

Reggae Man/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

2. Reggae Man

これだけはどうやらオリジナルらしい。歌詞が日本語だし、原坊が出てくるし。

でもサザンでも、ソロでも、これ以外には発表されていないし、ライブでもやっていない、謎の曲。

Trying To Live My Life Without You/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

1. Trying To Live My Life Without You

原曲はOtis Clayの72年の作品。これはゴキゲンなソウル・ナンバー。というのは当時調べたらすぐわかったけど、もっと後になって、ボブ・シーガー&シルバーブレットバンドの80年か81年のシングルヒット「暴走マイライフ」(なんか滅茶苦茶な邦題・・・)が、ほとんどそのままのアレンジでリリースされていたのを知った。

イントロで“Is it funky tonight?”とシャウトするところもそっくりで、このあたりはよくアマチュアバンドが好きな曲をコピーしたがるノリそのままで、すでにこの時期押しも押されぬロックスターとなっていた桑田さんが・・・と考えると笑える。

でもコピーにしては素晴らしい出来で、このアルバムの中でも出色ではないだろうか?

ちなみに原曲の作者のオーティスクレイは83年に来日した際、「いとしのエリー」を取り上げて、これがレコード化されたそうだ。

嘉門雄三&VICTOR WHEELS LIVE!/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

嘉門雄三&VICTOR WHEELS LIVE!

ソロアルバム 1982.03.02 桑田佳祐26歳 ※廃盤

ちょっと番外編。

82年の1月だったと思うが、当時大阪の某私立大に通っていた自分は、ある日大阪・梅田の「東通り商店街」のライブハウス(確か「バラード」という名前だったような)の前を通りがかって驚いた。そこには小さなチラシが貼ってあって「桑田佳祐バンド!」という告知が!確か前年の「そちらにおうかがいしても~」ツアーの告知に出ていた桑田さんのモノクロ写真が使われていた。何のことかもよくわからずにとにかくチケットを買って、その数日後か1週間後くらいのライブに参戦。

後にも先にもライブハウスで桑田さんを観るのは初めての経験で、席もあってないようなものだし、後半はぐちゃぐちゃになって、ホントに目の前に桑田さんがいて、手が届きそうなくらい。おそらく人生で最も桑田さんに接近した時間だった。

ライブの内容はほぼ当時の洋楽のカバーで、知らない曲もいっぱいあって、なんでサザンの曲をやらないの?ってちょっと不思議だったけど、ビートルズやビリージョエルなど自分が大好きな曲もいっぱいあって、まあインパクトが強くて楽しい時間だった。

それが!何か月か経ってこのアルバムを友人Cから教えてもらった時、あ!あのライブだ!と気づいた。こちらのレコードは東京・渋谷の「エッグマン」で「嘉門雄三」という仮名で実施。大阪では桑田佳祐で実施、という違いはあったが、曲はたぶんほぼ同じだった。アルバムに収録されていなくて、ライブで聴いた曲はホール&オーツの「プライベート・アイズ」とかリトル・リチャードの「ジェニジェニ」とか。

バンドのメンバー構成から見ても、青学の「ベターデイズ」つながりの友人たちと、学生の頃みたいに好きな洋楽をカバーしてみた、という完全に学生の遊びのノリでやっただけなんだろう。それがレコードとして残っていて、しかも聴きごたえがあって楽しい。今でも十分価値のあるレコード。外国の曲はいろいろ版権とかややこしいらしいけど、できれば廃盤のままじゃなくて再発売してもいいのでは?と思ってしまう。

翔~鼓動のプレゼント/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

翔~鼓動のプレゼント

シングル「チャコの海岸物語」カップリング

「松田の子守唄」(『タイニイバブルス』収録)に続く、桑田佳祐作詞作曲・松田弘ボーカルという名曲パターンの第2弾。弘さんの第1子誕生に合わせて桑田さんがプレゼントした曲だそうな。

「子守唄」ほどではないけれど、ボーカリスト松田弘の良さが十分に発揮された曲。当時の桑田さんは他人に提供した、または他人がカバーした曲が大ヒットしていて、ソングライター桑田佳祐のポジションが確立されつつある時期だったと言っていい。

この曲は弘さんのために特別に作られた曲だけに、桑田さんより高いキーの音が出せる弘さんの良さを引き出している。

また曲の最後が、当時流行り始めたフュージョンぽいインストゥルメンタルになっていて、この辺りも時流に乗っかろうとする意欲が見て取れる。一時は「そっち(フュージョン系)の方向へ行こうかという話もあった」と振り返っていたけど、個人的には「そっち」に行かなくて良かった、と思う。