ALL STARS' JUNGO (Instrumental)/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

11. ALL STARS' JUNGO (Instrumental)

5曲目に入っている同曲のリプライズというかショートバージョン。前々作「ステレオ太陽族」にも前作「Nude Man」にも、こういう短い曲が入っていた。

これは推測だけど、この曲はアルバム構成上、次の曲の「EMANON」のイントロのインパクトをより強めるためにあえて挿入したのではないだろうか?

闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて

56枚目のシングル  2018.06.15配信  桑田佳祐62歳

これをシングルと呼んでいいのかどうかわからないが、とうとうCDではなく配信のみとなった。シングルと呼ぶなら、サザンとしては2014年9月の「東京VICTORY」以来。

映画「空飛ぶタイヤ」の主題歌。映画は池井戸潤さん原作の話題作。中小企業の社長が大手自動車メーカーの巨悪に立ち向かう的な?映画も原作も見てないので詳しくわからにけど。桑田さん本人もコメントしているように、映画の影響を強く受けた曲。

パイプオルガンを思わせるイントロで始まるスケールの大きいバンドサウンド。ところどころにデジタル・テクノロジーも活用しているようだ。ちょっとザ・バンドボブ・ディランなんかの影響もみられるような気がする。

この曲の最大の魅力であり特徴は、歌に込められたそのメッセージだろう。現実は映画ほどドラマチックではないけれど、仕事をしているとさまざまな不条理を抱えながらも、なんだかんだ飲み込んで生きていかなければならない。疲れ果ててしまうこともある。それは誰もが経験することだと思うけど、桑田さんはそんな我々に「しんどいね 生存競争(いきていくの)は」と語りかける。タイトルは「闘う」とか「戦士」などとちょっと過激な言葉が並ぶけど、歌の内容は、そんな不条理とともにいきていく我々みんなを理解し、寄り添うようなメッセージが強い。ちょっと「栄光の男」みたいな感じも?そんなメッセージにシンパシーを感じてホロっとしてしまう。

「西陽が俺の孤独を憐れんで 振り返ればそこに長い影」なんてね。

南たいへいよ音頭/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

11. 南たいへいよ音頭

ムクちゃん(関口和之)の3作目の作詞作曲。全2曲(「ひょうたんからこま」「ムクが泣く」)はビートルズ愛、という感じだったけど、この曲はタイトルの通りトロピカルなアレンジの軽快な曲。この時代はアルバムに1曲ずつ桑田さん以外のメンバーの作曲による作品が入っていた。

全体的にはビートルズっぽくはないけど、間奏で水がプクプクいうようなSEが入っているところとか、つい「イエローサブマリン」を思い出してしまう。

ムクちゃんは最近はサザン以外ではすっかりウクレレの人になってしまったけど、トロピカル趣味はこの頃から始まったのだろうか?

サラ・ジェーン/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

10. サラ・ジェーン

透き通るような美しいメロディを持つ、ジャズ、フュージョンっぽいソウルミュージック。こうしたゆったりしたソウルっぽいバラードは桑田さんの曲には結構多くてしかもいい曲が多い。近年では、「ベガ」(アルバム「MUSICMAN」)、「彼氏になりたくて」(アルバム「葡萄」)。

八木のぶおさんのハーモニカをフィーチャーしているが、これが素晴らしい。八木さんはジャズ界を代表するハーモニカプレイヤーで、さしずめ日本のトゥーツ・シールマンスといったところか。この曲では間奏のハーモニカソロがスティービーワンダーみたいで素晴らしい。

歌詞は孤独な女子高校生が家でするまでのストーリーを描いていて、こういうテーマもこれまでにはなかったもので、歌詞の点でもどんどんキャパシティを拡げている桑田さんの意欲が感じられる。なんとなく、J・D サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて~The Catcher In The Rye」を思い出してしまうのは自分だけか?

あまり注目されない曲のようだけど、これも隠れた名曲のひとつだと思う。

MICO/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

09. MICO

昭和40年代に活躍した歌手・弘田三枝子さんを歌った曲。「Japanese Diana Ross」だそうな。なんで弘田三枝子?って思うけど、当時から桑田さんは子供の頃に聴いた昭和歌謡には大きな影響を受けたと話していたので、ふーんなるほどね。と納得。こうしたリスペクトする歌手たちのことを歌った曲というのはこれからいくつも登場することになる。

曲調は歌謡曲っぽいが、アレンジは必ずしもそうではなく、今でいうハイブリッドというか、ソリッドなギターのカッティングが入っていたり、ドラムスは当時流行っていた「シモンズ」のシンセドラムだったり、当時先端のニューウェーブっぽい。結構な苦心作ではないかと推測する。間奏のリズムとかも楽しくて、大好きな1曲。

確かこの曲には弘田三枝子さんご本人が出したアンサーソングがあると聞いたことがある。実際に聴いたことはないけど。

Yellow New Yorker /サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

08. Yellow New Yorker 

スピード感あふれるロックンロール。

アルバム制作前に確かプライベートでニューヨークに行き、その際の体験がベースになってるとか。

全編にわたってフィーチャーされているサキソフォンは当時ツアーにも帯同していたエスパー矢口。あの人今どうしてるんだろう?

当時ニューヨークは(今でもそうかもしれないが)日本の若いミュージシャンにとっては憧れの街だったようだ。サザンももちろんそうだけど、佐野元春さんが単身ニューヨークへ乗り込んで1年かけてアルバム制作をしたのはこの翌年だったか。

桑田さんもニューヨークで感じた物凄いパワーをこの曲にぶつけてみた、という感じで、物凄い熱量を感じる曲。

ライブではこの年の「私は騙された」ツアーで本編最後に演奏されていた。