虫歯のブルース〜インディアン狂想曲〔MEDLEY〕/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

虫歯のブルース〜インディアン狂想曲〔MEDLEY〕

シングル「HOTEL PACIFIC」カップリング

ちょっとナンセンスとも思えるような歌詞のトラディショナルなブルースと、軽快なポップロックのメドレー。インディアンみたいなコーラス(?)が入るから「インディアン狂想曲」か?途中間奏のコーラスはビートルズみたいだけど。

この曲は同年の茅ヶ崎ライブで演奏された。

HOTEL PACIFIC/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

HOTEL PACIFIC

2000.07.19 桑田佳祐44歳

45枚目のシングル

この夏サザンは「茅ヶ崎ライブ」を敢行。そのライブのために創られた曲。

曲調はあの「勝手にシンドバッド」に通じる昭和の歌謡曲テイストたっぷりで桑田さんのひとつのルーツを表しているもの。しかしそこはサザン。力強いサウンド昭和歌謡曲を今に蘇らせている。ホテルパシフィックとは、以前加山雄三さんのお父さん上原健さんが経営していたという茅ヶ崎に実在したホテルの名前。正確にはパシフィックホテルだそうだが。

当時個人的には、こうした歌謡曲っぽい曲がいまいち好きになれなかったのと、茅ヶ崎ライブには行けないし、ダンサーの振り付けとかノリ遅れるし、どうもこの曲は好きではなかった。しかしいつからか、そんなおかしなわだかまりもなくなり、2008年の「真夏の大感謝祭」で聴いた頃には大好きになっていた。今では、夏のライブでは欠かせない曲だと感じる。

その後2013年には茅ヶ崎ライブにも行くことができたし、ここでももちろん演奏された。また今年2018年の40周年キックオフライブ「ちょっとエッチなラララのおじさん」でも演奏された。

通りゃんせ/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

通りゃんせ

シングル「TSUNAMIカップリング

アルバム「さくら」の流れをくむようなハードなロック。そんなサウンドと「和」テイストの歌詞という一見ミスマッチな組み合わせは「CRY 哀 CRY」あたりに通じるものがある。

歌詞は鎌倉のことを歌っている。しかも四季折々。古の戦火を偲ばせるこの世界観は鎌倉という町のひとつの表情なのか?

TSUNAMI/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

TSUNAMI

2000.01.26  44枚目のシングル

説明の必要もないほどの、サザン最大のヒット曲で日本レコード大賞受賞曲。オリコンチャート通算5週1位、2000年オリコン年間チャート1位。CDは約300万以上を売り上げ、当時の日本歴代最高の販売販売枚数となった。

イントロがなくていきなりボーカルで始まる構成はなんとなく「HEY JUDE」をして思わせる。だからかどうかわからないが、どことなくビートルズの臭いが全般にわたって漂っているような。ピアノの伴奏で歌う部分はポールマッカートニーが歌っているよう。そこからギター、ストリングスが乗ってきて徐々に厚みを増しながら盛り上がる進行は、目新しさはないがオーソドックスで真正面から取り組んだバラードの王道。まさにバラードの横綱相撲、真剣勝負、直球で勝負、という感じ。

やっぱりサザンのバラードと言えば「いとしのエリー」「yaya~あの時代(とき)を忘れない」「真夏の果実」そして「TSUNAMI」でしょう。

2008年の30周年記念「真夏の大感謝祭」無期限活動休止ライブ@横浜日産スタジアム。後半の盛り上がり前のバラードはまさに「いとしのエリー」「真夏の果実」そして「TSUNAMI」という三連発。これはやりすぎでしょう。ルール違反でしょう。この曲たちを聴くのもこれが最後かもしれないという状況の中でこの演出は、もう感動するしかないという状態だった。「TSUNAMI」についてはこれ以後演奏されていない。

というのも2011年に起きた東日本大震災津波の被害。あれ以降世の中の風潮としてこの曲をかけてはいけない聴いてはいけない、なんで桑田はあんな曲を創ったんだ?みたいなものがある。震災よりも11年も前に創られた曲にそのような批判はまったく当たらないと思うが、桑田さんもかなり気にしているのも事実。ほぼ封印されたに等しい状態となっている。

実は今年の40周年キックオフライブで、この曲を演奏してくれるのではないかという期待が個人的にあったのだが、それもやはりかなわず。その後、企画アルバム「海のOH YEAH!」の1曲目に収録されることとなり、それについて桑田さんはラジオでこのように語っていた。「このアルバムに収録するについては、スタッフがこの曲順を提案してきて、考えた結果これもいいなと感じた。ライブで演奏しないことについては、それもひとつのメッセージになると考えている。まだあの震災は終わっていないしね。」と。震災からの復興が始まるタイミングと、桑田さんが癌との闘病から復帰を始めるタイミングがほぼ重なり、桑田さんは自分の復帰ライブの地に宮城を選んだこともあり、東北の人々には常に心を寄せているのは周知の通り。この曲に対する思いも、我々には到底知り得ない複雑なものがあるだろう。桑田さんはこうも語っていた。「いつか東北の復興の象徴として、この曲を歌える時が来るといいな。」

夏の日のドラマ/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

夏の日のドラマ

シングル「イエローマン〜星の王子様〜」カップリング

桑田さん作曲松田弘さんのボーカル曲。だがこれがぶったまげる名曲!あの「松田の子守唄」に匹敵すると言ってもいいくらい。

メロディに歌詞もなんだか切なくてオーソドックスな夏のラブソング。改めて桑田さんの曲作りのセンスの良さを感じると同時に弘さんのボーカルもドラマーにしとくにはもったいないと思わせる。

なぜこの曲を弘さんに歌わせようと思ったのか桑田さんに聞いてみたい。また、ぜひ桑田さんバージョンを聴いてみたい。

イエローマン〜星の王子様〜/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

イエローマン〜星の王子様〜

1999.03.25  桑田佳祐43歳

43枚目のシングル

最初に聴いた時には「なんだ?これは?」と思うパターン。イエローマンという謎のキャラクター、およそサザンらしからぬ打ち込みサウンド、意味不明な歌詞、ミュージック・ビデオも黄色い、特殊メイクでテブに変身した桑田さんが出てきて、鮮烈だった。

正直すぐには馴染めなかったが、ライブで聴いて印象が変わった。

自分としては7年ぶりに行ったサザンのライブは99年の「セオーノ・ルーハ・ナ・キテス〜素敵な春の逢瀬」。そもそもこの曲はこのツアーのために作られたそうだが、本編ラストでダンサーとかいっぱい出てきてまるでサーカスか何かのようにド派手に盛り上げていた。このインパクトが強くて印象に残ったのと、その後もライブではよく演奏されてその度に盛り上がるので徐々に大好きな曲になっていった。これもライブで真価を発揮する曲。

素敵な夢を叶えましょう/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

16. 素敵な夢を叶えましょう

サザンの20年間を俯瞰したような名バラード。そのメッセージはファンやメンバーに向けられたものだろう。20周年を記念したライブ「渚園」で歌うことを想定しているような歌詞もある。

「お互い素敵な夢を叶えましょう」というメッセージはシンプルだけど力強く、誰の心にも響く普遍性を持っている。この曲に、この言葉に勇気づけられた人は本当に多いことだろう。時々こういう、直接心に響くような曲が生まれる。そんな貴重な事例とも言える曲。

あまり注目されることはないし、シングルで売れるような曲ではないかもしれないけど、たぶん今も多くの人の心の中で鳴り続けていると思う。