勝手にシンドバッド/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー!

祝!サザンオールスターズ40周年!

いろんな企画が展開されるのだろうけど、自分でも何かやりたいと思って、「勝手に全曲レビュー!」をやってみたい。発表年代順に。ということはまずこの曲から。

※ちなみにすべて筆者の主観・実感・記憶・推測に基づくもので、すべてが事実とは限らないのであしからずご了承ください。

アルバム「熱い胸さわぎ
      1978年 桑田佳祐22歳

 

1. 勝手にシンドバッド
言わずと知れたサザンの記念すべきデビュー曲。今考えるとこの曲から始まったというのは象徴的で、ロック、歌謡曲、ブラックミュージックとさまざまな要素が見事に集約されて一つの完全なる「ポップ」にまとまっている。つまりはサザン/桑田佳祐の創る音楽が全部詰まってると言ってもいいくらい。

デビュー曲としては当初「別れ話は最後に」が予定されていたらしいが、直前にこの曲ができて差替えとなったそうだ。もし「別れ話~」がデビュー曲だったら、サザンは今のような存在感でいられたかどうか?またもしかすると日本の音楽シーンは、またサザンに触発された多くのミュージシャン、一般人、もちろん僕の人生は、今のようだっただろうか?もしかするとこの曲が日本を変えた?

デビュー当時はこの曲と当時のサザンのテレビでの型破りなパフォーマンスから「コミックバンド」というレッテルを貼られ、そのイメージを払拭するため81年頃から80年代半ばまではライブであまり演奏しなかった。そんな皮肉も乗り越えて、今やライブでは最も盛り上がる曲になっている。自分も実はこの時代、ビリージョエルにハマっていて、都会的で正統派の洋楽に憧れる田舎の高校生だった。それからすると「なんだコイツらは!」とまさに不埒で邪道な奴らみたいなイメージがあって、当初はあまり好きではなかった。実は。

しかしこの曲が40年経った今年テレビコマーシャルで使われると誰が予想しただろう?しかも「ひたむきな青春」というCMのテーマに見事にハマっているのにまたビックリ!40年前はとてもそんなイメージの曲ではなかったのに。なんて曲だ⁉︎

ちなみに♪ラララ〜ラララという印象的なフレーズは、レコーディングの時に桑田さんは「スティービーワンダーみたいに」と表現したらしいが、これは“Songs in the key of life”の“Another star”を指していると思われる。

2013年の「茅ヶ崎ライブ」。♪江の島が見えてきた 俺の家も近い という部分を江の島の方を指さしながら歌う桑田さん。鳥肌が立った・・・

また、2016年だったか、東日本大震災から5年の節目に宮城県女川町で行ったアコースティックライブ(ラジオ「やさしい夜遊び」の企画)の1曲目で演奏されたこの曲にはぶっ飛んだ。この曲のアコースティックバージョンはもちろん初めてだったけど、ちょっとマイナーな感じの曲調が、この曲特有の疾走感の中に愁いをたたえ、独特の深みを与えている。まるでジプシーの祭りで歌われる、深い悲しみをたたえた魂の叫びがここにあるような。もっとテンポを落として、STINGあたりが歌ったらどうなるんだろう?って想像を巡らせてみたくなる。

 

*2019年1月追記

2018年大晦日NHK紅白歌合戦に特別枠の大トリとしてサザンが出演し、35年ぶりにNHKホールで紅白の舞台に立った。そこで演奏したのが希望の轍とこの曲。サンバダンサーが登場し途中からは全出演者も出てきて、ユーミン北島三郎がステージ中央で桑田さんと一緒に映っている。ユーミンは桑田さんの頬にキスするわ「胸騒ぎの腰つき」よろしく腰をくねらせるわ、北島サブちゃんも聞こえるか聞こえないかくらいの声で「いま何時?」と歌って桑田さん大恐縮。司会のウッチャンが後で「カオス」と表現した凄い盛り上がり様だった。

ぶっちゃけ、我々サザンファンはこの盛り上がりはよくライブで体験しているので決して珍しくはないのだが、サザンファンでない方にはよほど衝撃的だったのかも。

しかしここで重要なのは、この曲が40年経って、平成最期の紅白の大トリで歌われてあれほど日本全体(といってもいいかも)が盛り上がれる曲になったということがなんだか感慨深い。いろんな世代を超えて、この難しい時代にみんなが一つになれる音楽の力をまた示してくれたと言っていいかな?

40年前はお笑いバンドの曲だったけど、いま青春のCM曲になり紅白の大トリになった。凄い曲だ。