熱い胸さわぎ/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

アルバム「熱い胸さわぎ

 

なんといっても♪勝手にシンドバッドインパクトが強いのでアルバムの印象もそれに引っ張られるところはあるけれど、随所にその後のサザンにつながる要素が見られる。荒削りだったり、まとめ方が上手じゃなかったりするけど。

ロックンロール、サザンロック、ブルース、リズム&ブルース、ジャズ、フォーク、ラテン歌謡、様々な要素が盛り込まれていて、当時桑田さんやメンバーが好きだった音楽をとにかく自分たちなりの解釈でやってみた!ぶつけてみた!という感じか?まだ学生っぽさの残るここをスタートとして、80年代半ばまでほとんど休みなく精力的な活動を続け、上記の路線でどんどん進化し、大きくなっていく。その原点がここにある。今聴くとシンプルなだけに聞き飽きない良さ、楽しさが感じられるし、♪勝手にシンドバッドなど40年経ってもまったく古びていないことに心底驚く。

桑田さんはソロアルバム「Musicman」をリリースした時、「サザンのデビューアルバムと「Musicman」だけはやり直したいところがない」と言ってた。それほどこのデビューアルバムには強い思い入れがあるんだろう。確かにある意味このアルバムが一番勢いと力強さがある。

またアメリカやイギリスではこの時期70年代後半はパンク/ニューウェーブの波の真ん中で、それがその後のオルタナティブロックの隆盛につながるのだけれど、日本では、このアルバムこそがニューウェーブの始まりだったのではないか?ただの洋楽ロックの模倣ではない、それらの文化を日本の歌謡曲文化と融合させ勝手にシンドバッドみたいな名曲を生み出したことで、サザンは日本のポップミュージックを変えたと言っていい。ただみんながそれを認識するのはもっと後、80年代半ばになってからだけど。