I AM A PANTY (Yes, I am)/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

I AM A PANTY (Yes, I am)/シングル「C調言葉にご用心」カップリング

初期の曲に多い、リトルフィートへのオマージュ。リトルフィートって日本でもどちらかというとマニアックなイメージのバンドだけど、この頃のサザンにとっては、こうしたサザンロック/スワンプロックというのは相当重要だったようで、デビュー前に毛ガニがパーカッションで加入した時、「これでバンド編成がリトルフィートと同じになった」と喜んでいたのだとか。確かに、ギター×2、キーボード、パーカッション(もちろんドラムとベースも)という編成が、桑田佳祐という稀代のメロディメーカーでありプロデューサーの才能を活かし、サザンの多彩な音楽性を実現することができたのだとも言える。

またスワップロックというと、70年代初めにクリームを解散してイギリスからアメリカに渡ってきたエリッククラプトンが、それまでやっていた3ピースの緊張感あふれる丁々発止のインプロビゼーション(即興演奏)から、そのリラックスしたレイドバックサウンドにはまり込んで、ザ・バンドに入りたいと言ったというのは有名な話だが、当時アメリカ南部ではレオンラッセル、ザ・バンド、オールマン・ブラザーズバンド、そしてリトルフィートなど多くのバンドが活躍していた。

この曲は地味な印象だったが、これを書くために聴きなおしてみて聴きどころが多いのに驚いた。サザンロックの特徴である重厚なリズムセクション、曲作りの才能を1曲ごとに開花させようとしているこの時期の桑田さんならではのキャッチ―なメロディ。まだこの時期はめずらしい原坊のリードボーカル(♪茅ヶ崎に背を向けて以来)。豪華なブラスセクション。そして何より全編を通して炸裂するスライドギター。このスライドギターは桑田さんによるものだろうか。

こんな曲を今のサザンが創ったらどうなるのだろう?