チャコの海岸物語/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

チャコの海岸物語

13枚目のシングル 1982.01.21

ステレオ太陽族」は大ヒットしたものの、相変わらずシングルが売れない状況が続き、どうやらこの頃の桑田さんの悩みは『やっぱり売れたい・・・』だったみたい。

テレビに出ずっぱりだったころはそれが嫌でたまらなかったらしいけど、呼ばれなくなったらなったで、それは寂しいみたいで、この都合よさというか目だりたがり屋の性分というか、それは自分でも認めているし、ひたすらストイックに自分の音楽を追及するという側面と、常に売れ続けることで社会の中で一定のポジションを保っていたい、というバランスが桑田さんの良さであり、それが実際にできてしまうところがすごさだと思う。

そんな背景から生まれたのがこの曲。後年、「チャコには音楽的な思想は何もありませんから」と語っているように、ただただまたデビューの頃みたいに目立ちたいという「イロモノ」で観られていた時代を今度は自分で演出して見せた。そう考えると世間をある意味意のままに操ったという点ですごいことだと思う。

曲は古いグループサウンズをモチーフにして田原俊彦のものまねでわざと下手な歌手を装っている。テレビには冴えない公務員風の衣装で出演。世間は見事に術中にハマって、これが久しぶりの大ヒット!紅白出場まで果たしたからやっぱり凄い!この辺のセルフプロデュースというか、世間とのバランスのとり方は現在でも生かされていて、いつも売れ続けるサザンであり続けている。