MISS BRAND-NEW DAY/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

MISS BRAND-NEW DAY

1984.06.21 20枚目のシングル 桑田佳祐28歳

あまりにも長く、あまりにも強く深く親しんできた曲で、いざこの曲について何か書こうと思うと逆に何を書いていいのかわからない。

数あるサザンの曲の中でも最も重要な曲の一つだと思う。ある意味サザンの将来を決めたと言っていいくらいの超・名曲。非の打ち所がない完璧な曲。時々こういうとんでもない曲が生まれてくるけど、その瞬間をリアルタイムで体験できるのはファンとしても冥利に尽きる。

前年の「綺麗」あたりからアレンジやレコーディングに電子楽器など当時先進の音作りを取り入れ始めたが、この曲やアルバム「人気者でいこう」ではその手法がより洗練されている。またそれだけでなく、途中でビートルズの「エリナーリグビー」みたいなバイオリンが入ったり、間奏では生ギターが入ったり、普段からいろんな音楽スタイルに挑戦していろんなものを自分の血や肉としている桑田さんだからできる、さまざまな要素が化学反応して新しいものが生まれたような名曲だと感じる。

当時は新しい音楽の制作手法だったとしても、それだけなら現代では珍しくもない。むしろ時代が進むにつれて古臭く感じるはずだけど、この曲の魅力は時間をまったく感じさせることはない。こんなに長くファンから、ファンでない人からも愛されるのはそれだけではなく、メロディの美しさやノリのよいビート、心地よい楽器の音色など音楽としての本質的な魅力を持っているからだろう。今80年代のヒット曲などを聴くと懐メロ臭がムンムンだけど、この曲は全く色あせていない。

自分は常々、この曲と96年の「愛の言霊」、あとデビュー曲の「勝手にシンドバッド」がそういう多種多様な要素から全く新しいものが生まれるというマイルストーン的な作品だと思っている。最近では2016年の「ヨシ子さん」もそうかな?

84年の夏が本格的に始まろうとする頃、この曲を聴いたときは衝撃だったが、あれから34年たった今もこんなに新鮮に聴けているとは想像もしなかった。

余談だが、実はこのシングル、当初は「海」が予定されていて、ジャケットの印刷ももう終わっていたという話がある。ある日桑田さんが朝目覚めてふと思いつき、急きょ「ミス・ブランニュー・デイ」に差し替えられたのだとか。「海」も超・名曲だけど、もしこのシングルが「海」だったら、どうなっていたのだろうか?または「ブランニュー・デイ」と「海」のカップリングというアイデアはなかったのかな?

この曲はライブでも長い間、超・定番曲で会場を盛り上げ続けてきた。以前ヒロシさんのコメントで「この曲はライブのどこでも使える。前後がどんな曲でもこの曲でライブの雰囲気を変えられる」みたいなのがあったけど、まさにその通りだと思う。ライブの前半でも、後半の盛り上がりでもどこでも会場は大爆発。この曲が聴けないとちょっと不満が残るくらいライブでは欠かせない曲になっている。