真夏の果実/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

真夏の果実

1990.07.25 桑田佳祐34歳

28枚目のシングル

『「真夏の果実」や「いとしのエリー」は独り歩きしてしまって自分の曲じゃないみたい』

『自分の曲で人に聴かせて恥ずかしくないのは「真夏の果実」と「勝手にシンドバッド」とか全部で5曲くらいだけ』

山下達郎さんに「真夏の果実」と「マンピーのGスポット」を同じ人間が創ったとは思えないと言われた』

以上は桑田さんが自分でこの曲についてコメントしたことがあるもので、僕の記憶にあるものだけを並べてみた。なにが言いたいかというと、こんな風に自分の作品について語る時にもよくこの曲が取り上げられる。それほど、桑田さん自身の中でも自らの作品を代表するもの、という意識が強いのだろう。

また時々「サザンの曲のファン投票」みたいな企画を目にするが、その際にも必ずベスト3くらいには入っている。2008年の無期限活動休止のライブ「真夏の大感謝祭」@日産スタジアムの前にそんな企画があり、投票結果をライブ中に発表されていたけど、その中でも堂々の1位だった。日本の他のミュージシャンでもこの曲が好きだとか影響を受けたという話を良く聞くし、まさに日本のポップミュージックシーンを代表する名曲と言っていいだろう。この年には日本レコード大賞にノミネートされ、受賞が有望視されたが、「ちびまる子ちゃん」のテーマソング♪おどるポンポコリンに敗れ、同日の年越しライブをテレビで見た時、ステージ上で「おどるポンポコリンに負けました・・・」と悔しがっていた桑田さんを覚えている。レコード大賞は後に「TSUNAMI」で受賞するし、また「ちびまる子ちゃん」については桑田さん自身がエンディングテーマ「百万年の幸せ」を歌うことになる。

夏という季節の情緒的な側面、これは若いころを中心に誰でも経験し、いろんな思い出をずっと持ち続けるものだと思うけど、そこにズバッとハマるこの曲の切なさ。まさに心を震えさせる力がある。ウクレレとかアレンジも夏の情緒満載。我々古いファンにとっては「稲村ジェーン」という映画のイメージもこの曲のイメージとリンクする部分が大きいが、最近のファンはそれも関係なくこの曲を聴いているのだろう。

当然ライブでも定番となっていて、この曲がないと「あれ?」と思ってしまうくらい。

中でもよく覚えているのは、やはり2008年の日産スタジアム。なんとこの時は後半の盛り上がりの直前「いとしのエリー」「真夏の果実」「TSUNAMI」というバラードの名曲3連発。これはルール違反でしょう!というくらい感動させてやろうという演出に聴く方もハマってしまった・・・

考えてみればこの曲発表されてから28年もたつのか、それも信じられない。