希望の轍/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

02. 希望の轍

この曲と「真夏の果実」が同じアルバムに入っているというのがちょっとした奇跡ではないか!?

これもサザンの代表曲であり、人気投票などで上位の常連(2008年の公式人気投票では第2位)であり、ライブの超定番曲であり、シンドバッドやみんなのうた、マンピーなどと並び最も盛り上がる曲。シングル曲でないのにこんなに有名で人気があるのは驚異的。これはいくつかのテレビ番組でテーマ曲に使われたこともあるようだが、サザン最大のセールスを誇るメガヒット企画アルバム「海のYEAH!」とやはりライブの功績が大きいのではないか?それほどこの曲のライブパフォーマンスは素晴らしい。このアルバムバージョンが良くないわけではないが、ライブではテンポも違うし別の曲といってもいいくらい。

それでもこのアルバムバージョンの冒頭「夢を乗せて走る車道」を聴くと、映画稲村ジェーンのビジュアル、青いオート三輪がサーフボードを積んで走ってるところが思い浮かぶ。

アルバムバージョンのレコーディングには、実は意外なことにサザンのメンバーは桑田さん以外誰も参加していなくて、小林武史(Kb)小倉博和(G)原田末秋(G)となっている。ドラムは打ち込みか。したがって厳密にはサザンの曲ではないといういい方もできるが、上記「海のYEAH!」や「バラッド3」というサザンの企画アルバムには入っているし、サザンのライブではガンガンに演奏するし、現在では完全にサザンオールスターズの曲という分類になっている。ただ、サザンと桑田ソロの曲を明確に分けている中では珍しく桑田さんソロライブでも演奏することがある。ただしその場合もアンコールのラストに一人だけでギターを鳴らしながら歌う、というパターンが最近では多い。

切ないラブソングでもあり、陽炎のような夏の儚さを歌う青春のブルースでもある。ポジティブな未来への決意であり、最後のフレーズ“Let me run for today ”は今を懸命に生きる多くの人々を勇気づける。ポップ、ロックのパワーがたくさん詰まっている。