慕情/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

05. 慕情

何というシンプルで美しい曲なのか?

ピアノのイントロは、「ジョンの魂」や「イマジン」の頃のジョンレノンを思わせる。いや実際意識していると桑田さんはインタビューで話していた。この頃のジョンも虚飾を排したシンプルなサウンドや歌、歌詞が凄みを感じさせていたが、この曲はそこまで生な感情ではないにしても、シンプルなだけに際立つ純粋さや美しさがある。

歌詞は失われた恋について歌っていて“My heart is on the way to breaking down.”とか、少しずつゆっくりと闇に落ちていくような深い悲しみをたたえている。

こんなシンプルで美しい曲、2017年の桑田さんソロアルバム「がらくた」収録の『杜鵑草(ほととぎす)』にも通じるものがある。「真夏の果実」とか「いとしのエリー」にも負けない、隠れた名曲だと思う。

2013年の35周年復活ライブ「灼熱のマンピー!G★スポット解禁!!」でアコースティックセットで演奏されてしみじみと本当にしみじみと聴き入ったのを覚えている。