亀が泳ぐ街/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

13. 亀が泳ぐ街

これはまた意欲的、実験的、挑戦的な名曲。

これはブルースなのか?なのだろう。ブルースをベースにしつつ、ジャズ、R&B、日本の色街文化、いろんなものが詰め込まれて得も言われぬ独特な凄みを出している。

しかもおそらくは敢えてダラダラと延々と同じようなフレーズが続き7分を超える長い曲となっている。歌詞はまた何のことを歌っているのやらよくわからない(このアルバムには特にこういう曲が多い)。聴く者に「これが楽しめるか?」と挑戦しているようなところがある。

個人的にはこのアルバムを象徴するような気がして大好きな曲。人間の、なんかドロドロしたところを表現してるように感じる。「涙のキッス」はもちろん最高だけど、桑田さんこんな曲が作れるんだなぁ、人間の表も裏も両面を描けるんだなぁと感激してしまう。

ライブでは発表当時の「歌う日本シリーズ」ツアーでしか演奏されていない。しかしこのライブでの演奏はアルバム以上にド迫力で強烈なインパクトを放つ名演だったのだけど、まわりの客が何人もトイレに立っていくのが腹が立ったのを覚えている。