あなただけを(Summer Heartbreak)/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

あなただけを(Summer Heartbreak)

1995.07.17  36枚目のシングル

マンピーからまた一転して夏イメージ全開のロマンティックなラブソング。

アレンジという点ではフィルスペクターか大瀧詠一かという「ウォールオブサウンド」。その点では、「クリスマスラブ」(93年)から「LOVE AFFAIR〜秘密のデート」(98年)につながる系譜にあると個人的には思っている。

サビから始まるダイナミックな構成、映像が眼に浮かぶような言葉が散りばめられた歌詞、まさにぶ厚い音の壁のような演奏、ひとり多重録音と見られる美しいコーラス。♪誰かが落とした麦わら帽子〜♪で始まる大サビは「ステレオ太陽族」の頃みたいな夏への感傷がある。サビ前の♪夏が終わる♪の「る」1音だけやたら高い音で、ココがこの曲最高の快感。この曲は小林武史さんも片山敦夫さんも参加していなくて、管楽器を除いてはサザンだけのアレンジとなっている。このころのサザンには改めてバンドサウンドを追求しようという意欲が見られるようだ。

桑田さんはこの曲について、当時「自分が作った曲の中でベスト5に入る」と非常に高く評価していた。

その割にライブでの演奏機会は少なくて、95年の「ホタルカリフォルニア」96年の「ガールズ万座ビーチ」の二つの大型ライブ(後者はスタジアムツアー)でしか演奏されず、自分が初めて聴いたのは2015年の「おいしい葡萄の旅」だった。しかしこのライブでの演奏は素晴らしく、それまでの10倍くらいこの曲が好きになった。