唐人物語(ラシャメンのうた)/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

08. 唐人物語(ラシャメンのうた)

一片の美しい短編小説のような曲。唐人(ラシャメン)とは幕末期の洋娼のことで、米国公使タウンゼントハリスの世話をしていた芸者お吉のことを歌っているとされる。

この曲では、日本語がこれほど美しくイメージ喚起力に優れているのかと気づかせてくれる。「さくら」というアルバムタイトルが出てくるのもこの曲だけ。そう考えると、このアルバムではこれまでになく日本語にこだわっていると考えることもできる。さくらという言葉もこの曲では華やかさとともに儚さを感じさせるイメージで使われている。

美しいがどこか憂いを湛えたメロディに原坊の透明感のあるボーカルが素晴らしい。原坊ボーカル曲の中でも屈指の名曲だろう。2018年の「海のOh Yeah!!」に収録されたのもうなずける。