MUSICMAN/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

MUSICMAN

2011.02.23 桑田佳祐55歳の直前

ソロ4枚目のアルバム

もともと前年2010年の秋(だったと思う)にリリースが発表されていて、それに合わせてライブツアーも計画され、確かチケットも入手していたと思う。それが桑田さんの「ふとした病」によってアルバム発売は延期、ライブツアーは中止となった。

幸い(ほんとに幸いだ)なことに桑田さんは術後、秋にはスタジオに復帰し最終的な歌入れなどを行って年明けにこのアルバムも日の目を見た。

大上段に振りかぶったタイトル。当時「サザンのデビューアルバムとこのMUSICMANだけはやり直したいと思うところがない」と語っていた。それほど自信に満ち溢れた作品ということか。

2000年代に入り、サザンとしては1枚(2枚組のキラーストリート)のアルバムしかリリースできていない中、ソロではこれで2枚目のオリジナルアルバム、2007年の「魅惑のAVマリアージュ」もアルバム並みのボリュームとクオリティ、ということを考えると、ソロ活動の充実ぶりが目立っているが、このアルバムもますますソロとサザンの境目がなくなっている。そもそもサザンは活動休止中なので、やりたいことをすべてソロ活動の中でやってみた、という感じか。それまでのソロアルバムは当時のサザンの活動にはないコンセプトや桑田さんの内面がにじむような作品が多かったが、このアルバムにはそういう要素はあまりなくてむしろ自由。

2000年代に入ってから桑田さんが創る曲は、長いトンネルの中のような日本の世相を反映してか、世の中やファンをはじめ日本の人々に元気や勇気を与えるようなメッセージや曲調が多くなってきている。このアルバムでは自身が病気を経験したこともあり(もっともそんなメッセージ性が強い『それいけベイビー!』は病気の前に創られたそうだが)、一層力強いメッセージ性が強くなっている。

音楽のために生きている、音楽に生かされている「MUSICMAN桑田佳祐の魂の作品。