ライブレポート【ネタバレ注意!】サザンオールスターズLIVE TOUR 2019〝キミは見てくれが悪いんだからアホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!?ふざけるな!!2019.05.18-05.19福岡ヤフオクドーム(1)

福岡ヤフオクドーム公演に2日連続で参戦。席は1日目はスタンド左側前方。野球でいうと左翼ポール付近で、前ではあるがステージ真横に近く、ステージのスクリーン等は見えない。音もあまり良くなかった。2日目はアリーナBブロックの5列目、最前列から数えて25列目。やや左寄りだけどここは素晴らしい神席だった。桑田さんはじめメンバーみんながよく見えて、演出もよくわかるし、音響も良かった。

初日は開演前ウェーブが湧き起こってスタンドまで回ってきていた。

01. 東京VICTORY
02. 壮年JUMP
03. 希望の轍

ステージは全体に大きな白いジョーゼットで覆われていて、開演時はそれをスクリーンとして時計が回る映像が映し出され、1978(サザンがデビューした年)から1979 1980 1981と次々と数字が映し出されて年月の移り変わりをイメージさせる。2019で映像が決まると、今度はサザンのメンバーのシルエットが。会場大歓声!そして♫Oh oh oh〜という「東京VICTORY」のコーラスが!「時を駆けるよTime goes round」で桑田さん1人のシルエットに。そして、「それ行けGet the chance !」でジョーゼットがスーッと落ちて、ステージ上のみんなが姿を現わす!桑田さんはアコースティックギターを弾きながら!会場はいきなりの「東京VICTORY」という選曲とこのオープニング演出でいきなり興奮と熱狂は頂点に!

  Oh oh oh〜というコーラスも、Hey! Hey!で拳を突き上げながらのシャウトも、早くも会場一体となってすごい盛り上がり。“TOKIO the world is ONE!”のところはもちろん“FUKUOKA the world is ONE!”に!Hey! Hey!のパートはレコーディングバージョンより少し長かった。

1曲終わると「ありがとう!」と桑田さん。今回とにかく殆どの曲で、終わるごとに「ありがとう!」と言ってたのが印象的だった。

桑田さんのいでたちは赤いTシャツに白いジャージーのようなパンツ。靴はアディダス。髪型はリーゼントでバッチリ決めていた。

「壮年JUMP」は2番の歌詞を変えた40周年バージョン。「アイドル、アイドル(アイドル!)」というコーラスや「シャワッシュワ」というところの会場の反応などで、この曲がファンに人気があるのがよくわかる。

希望の轍が始まる前にはえぼし岩の空撮(ドローン)映像とともにブラスセクションによるちょっとした前振りがあった。この曲は新鮮さはないがライブで聴くといつも胸が締めつけられるような感動がある。2曲目もこの曲もエレクトリックギターを弾きながら歌う。この曲をギターを持って、というのはかなり珍しい?サビの後半Oh my, oh yeah!というところだったか、強烈なシャウトを聞かせていた。もちろん2番のサビ前のBaby Love!も。

短いMCのあと次のパートへ。

04. 闘う戦士達へ愛を込めて
05. SAUDAGE〜真冬の蜃気楼
06. 彩
07. 神の島遥か国
08. 青春番外地
09. 欲しくて欲しくてたまらない
10. Moonlight Lover
11. 赤い炎の女

12. 北鎌倉の思い出

3曲めまではメジャーな曲、新しい曲で、ガッツリ我々観衆の心を掴み、ここからは徐々に熱狂からリラックスへと落ち着かせていく。

「闘う戦士(もの)達へ愛を込めて」はほぼレコーディングバージョンと同じイメージ。ここまでは元気のいい曲で来て、次の「SAUDADE〜真冬の蜃気楼」でぐっと落ち着かせる。

ここからはシングルヒットやライブ定番曲は少なく、意外性のある曲が増えてくる。個人的には「彩〜Aja〜」が聴けたのが今回のライブの目玉の一つで、ここは食い入るように聴いた。広島では間奏のギターソロはエレクトリックだったと思うが、福岡ではオリジナルに近いイメージのアコースティックギターになってた。

神の島遥か国では三線の(実際はシンセサイザーか?)のインタールードがいかにも沖縄音楽というムードを高めていた。サビではいつものように大きく両手をウェーブさせるのが楽しい。

「青春番外地」も大好きな曲。ストーリー性のある歌詞に合わせて映画のような映像が曲のムードを盛り上げる。個人的に大好きな曲なのでこの曲を取り上げてくれたのが嬉しい。

「欲しくて欲しくてたまらない」は幅広い音程を行き来する激しいボーカルがたまらない。後半のジャズっぽいパートはオリジナルとかなり違ったアレンジになっていた。

「Moonlight lover」も人気曲で久しぶりの演奏。イントロが始まると大きくはないがさざめくような拍手が沸いていた。

だんだんと選曲が古くマニアックに。スパニッシュギターとフラメンコのような踊りがあってそのまま始まったのは「赤い炎の女」。ここでまた会場が弾ける。個人的には終盤の「シェキ!(Shake It! )」というブレイクが久しぶりでなんとも心地よかった!懐かしい!!

そして原坊の「北鎌倉の思い出」は原坊の透明感あふれる歌声と、桑田さんやタイガーの綺麗なハーモニーが印象的だった。

 

ここでいつものようにメンバー紹介。「絶倫チェリーボーイ」斎藤誠(g)、「顔面世界陸上Tiger(cho)、「親友でラッパー」小田原ODY(cho)、「ラッパーではない」と否定するODYに桑田さんが「ラッパーだろ?」と言いながらタッパーや菜っ葉、やカッパを持ち出して迫る、みたいなギャグを見せたあと、ODYとTigerの息のあったラップを聴かせるという楽しい一幕もあった。野村萬斎柴田恭兵のモノマネを見せた片山敦夫、ブラスはいつもの山本拓夫(sax)、福岡県飯塚市出身の吉田治(sax)、バツ4の菅坂雅彦ガチン(tp)。

サザンのメンバーは宮崎出身という事でジャイアンツの帽子をかぶって、子供の頃ジャイアンツのキャンプを見に行った思い出をホークスの本拠地ヤフオクドームでとうとうと語る松田弘。デビュー当時の福岡の屋台で元気をもらったという原坊。実はダンサーになりたいんだと初めて明かす関口ムクちゃん(後でわかるがこの話は伏線だった)。時間がないからとスルーされた毛ガニ(実はこれも伏線だった)。毛ガニ、原坊、ムクちゃんは最初それぞれにお面をつけて出てきた。毛ガニはSEKAI NO OWARIのピエロみたいな人、原坊は忍者ハットリ君、ムクちゃんはカールおじさん。あと、1人ずつ「ここで一句」もあってなかなか盛り沢山なメンバー紹介だった。

そしてメンバー紹介の間中ステージの片隅に謎の黒マントに仮面の男が。そしてメンバー紹介が終わると謎の笑い声を上げながら去っていった。謎だらけだけどこれも後でわかる伏線だった。

13. 古戦場で濡れん坊は昭和のヒーロー
14. ジャパネゲエ
15. 女神達への情歌

16. 慕情

ここからはさらにマニアックコーナー。

「古戦場で濡れん坊は昭和のヒーロー」は最近になって好きになった曲で、今聴くと凄く先進的な曲だとわかる。ザ・ポリスの影響か?「ジャパネゲエ」は発表当時からポリスの影響を感じさせていた。しかしこの辺はライブでは滅多にやらないし、よく知らないリスナーも多かったのでは?「女神達への情歌」はブルースっぽい曲調とビーチボーイズのようなコーラスの組み合わせが新鮮。広島で聴いた時より、後半のアレンジがど迫力で凄かった。今回のライブのヤマ場の一つ。

でもやっぱりこのコーナーの1番の感動は「慕情」。一音一音を丁寧に歌う桑田さんのボーカル、ピアノを中心としたシンプルな演奏、ステージ上からのシンプルな照明演出。あまりにも儚くてあまりにも美しい曲。今回最も印象に残った曲の一つというファンは多いのでは?1番が終わって2番が始まる間のつなぎがCDより少しだけ長くて、その間にさざめくように鳴る拍手が印象的だった。また曲の後半でスクリーンにはどことなく寂しく寄せては返す波打ち際の映像が流れていた。

17. 恋はスローにちょっとずつ(仮)
18. 行け!力道山
19. CRY 哀 CRY
20. HAIR
✳︎忘れられたBIG WAVEとムクちゃんハワイアンダンス

そして短いMC。このツアーの間に新曲をお客さんと一緒に育てていきたい、と紹介して「恋はスローにちょっとずつ(仮)。広島に続いて2度目3度目だったけど、曲が成長したのか、胸にズーンとしみるようなバラードになってた。覚えている歌詞は、「恋はスローにちょっとずつセピアに染まる」「I don’t cry もう泣かないさ 一人で生きるんだ」「君だけが夢に訪れる」「君だけが希望の光」恥ずかしながらちょっと涙が溢れた。もしシングルになったら、サザンとしては久しぶりのバラード。リリースが楽しみだ。

スクリーンにはモノクロのプロレスの映像が流れる。少しイントロがあっての「ゆけ!力道山。この曲もライブで聴くとカッコいい!特に後半のブラスのパートは汗が飛び散るほど狭いライブハウスで聴く熱気ムンムンのリズム&ブルース!間奏のギターソロは桑田さん。後半で「Let me hear you say yeah! (Yeah!)聴かせてくれyeah!(Yeah!)」みたいなコール&レスポンスあり。

「CRY哀CRY」は90年代半ばのRADIOHEADバリのハードなロックに乗せて、恋に焦がれる狂おしいほどの想いを万葉ことばで表現しているが、珍しく歌詞に日本語なのに現代語訳がついていた。迫力と、歌詞の情念みたいなものに圧倒される。

そしてそこから切れ目なく「HAIR」につながるがこのあたりがライブのひとつのクライマックスだったと言っていい。

ここで「ちょっと休憩」コーナー?「忘れられたBIG WAVE」がライブではなく音源で流れ、ムクちゃんが男性ダンサー2名とダンスを披露。一瞬意味がわかないが、スクリーンには「ムクちゃんはダンサーになる夢を叶えている最中です」みたいなスーパーが。メンバー紹介の時に「ダンサーになりたい」と夢を語っていたのでそのことを指している。広島の時には確かこのスーパーはなかったと思うし、ここでようやく会場の来場者は理解したのではないか?

そしてこのつなぎで再び黒いマントの仮面男が登場。高らかに笑い声を上げながら去って行った。観客唖然。初日には「誰〜?」という声が会場から上がり、ウケていた。

 

次回へ続く。