【ネタバレ注意!】サザンオールスターズ特別ライブ2020「Keep Smilin'~皆さん、ありがとうございます!!~」

2020年6月25日。サザン42回目のデビュー記念日。今年はサザンとしての活動は予定していなかったそうだけど(ということはむしろ桑田さんがソロでオリンピック関連の活動をすることになっていた、と勘繰ってしまう)、新型コロナウィルスの猛威により世の中の様相が一変したことで急遽開催されることになった。

会場は横浜アリーナ。なのに無観客ライブ。そして有料オンライン配信のみ。価格は3,600円。これを高いとみるか安いとみるか?インターネットで配信を見るだけで3,600円は高いと感じる人もいれば、僕などはサザンのライブが3,600円で見られるなら安い!と感じてしまう。

午後8時開始。約2時間30分と事前にリリースされていた。ということはちょっと短いバージョンで25曲前後か?今回の趣旨はタイトルにもあるように「皆さんありがとう」で特にコロナと闘う医療従事者を支援する意味もあるらしい。収益金は一部医療関係に寄付するのだそう。

ではさっそくセットリストを。

01. YOU

02. ミス・ブランニュー・デイ

03. 希望の轍

04. BIG STAR BLUES

05. フリフリ65

06. 朝方ムーンライト

07. タバコロードにセクシーばあちゃん

08. 海

09. 夕陽に別れを告げて

10. シャララ

11. 天井棧敷の怪人

12. 愛と欲望の日々

13. Bye Bye My Love

14. 真夏の果実

15. 東京VICTORY

16. 匂艶The Night Club

17. エロティカセブン

18. マンピーのG☆スポット

19. 勝手にシンドバッド

アンコール

20. 太陽は罪な奴

21. ロックンロール・スーパーマン

22. みんなのうた

 

広い横浜アリーナで、がらんとした客席を前に本物のライブさながらに、というかいつものように一生懸命やっていた桑田さんはじめメンバーとスタッフに感謝、感動。たぶんすごくやりにくかったんじゃないかと思うけど。我々観客もいつものライブみたいにずっと立ちっぱなしではないし、勝手が違うけど、終わってみればいつものライブと同じような虚脱感。照明、映像など客席に誰もいないからこその演出もあり、スタッフの努力がすごく感じられた。

一方で、桑田さんが「客席にみんながいないとさびしい」というようなことを言っていたのも印象的で、やっぱりライブは同じ空間を共有してなんぼだよな~とあらためて痛感。桑田さんやメンバー、スタッフもそうだろう。

 

1978年から2020年。あの頃誰が今のサザンを予想しただろう?今の世の中にサザンがいてよかったです。

またみんなで集まれる時まで、あきらめずに頑張ろう!

 

民放ラジオ101局特別番組「桑田佳祐のお家でRADIO~こんな時こそラジオでSMILE!」

思いがけずコロナウィルス感染症に日本中が萎縮し社会活動が大きく制限されている中でオンエアされることとなったこの特別番組。

当初は東北でのライブの様子をオンエアする予定だったそうだが、このご時世なのでライブは中止となり、代わりに今時代のキーワードともなっている「テレワーク」風に、自宅でのミニライブという体で、実際はおそらくスタジオライブでの放送となった。実はさほど期待せずに、「やさしい夜遊び」の延長線上で少し「生歌コーナー」があって、、、くらいかと思っていたらこれがびっくり!原坊に斎藤誠さん、片山敦夫さん、山本拓夫さん、金原千恵子さんが集まっての本格的なライブ。

セットリストは

1.それいけ!ベイビー!

2.恋のバカンスザ・ピーナッツ

3.鏡

4.大河の一滴

5.The Common Blues~月並みなブルース

6.悲しい気持ち~Just A Man In Love~

7.SMILE~晴れ渡る空のように ※スタジオ音源

8.いとしのエリー

9.Nowhere Man (The Beatles)

10.明日へのマーチ

「それいけ!ベイビー」で始まって「明日へのマーチ」で終わるという構成は、明らかに現在の世相を意識している。先入観がなかった分、どの曲も意表をつかれて新鮮。でも一緒に口ずさめる親しみやすさ。The Common Blues~月並みなブルースなんてほんとのライブでも聴いたことないけど最高。またいとしのエリーの歌はいつもながら熱唱。思わず18年6月25日の「ちょっとエッチなラララのおじさん」@NHKホールを思い出した。またSMILE~晴れ渡る空のようには、オリンピック云々は横において、今この状況でみんなを元気づける名曲だとあらためて感じた。

今は日本中いや世界中が病気にかかったみたいな状況で、みんなが委縮して閉塞感が漂っているけど、だからこそ「ひとりひとりが元気でいること」「ふさぎこまず、楽しむこと」の大切さを考えさせられる「今必要なちょっとした、でも大切なエンターテイメント」だった。

悲しきプロボウラー

2020.02.12

桑田佳祐&ザ・ピンボーイズ名義での昨年に続いて2作目のシングル。

ちょっとノスタルジックなサウンドで、60年代を彷彿させる軽快で良質なポップチューン。ビーチボーイズみたいなコーラス。“Da doo ronron”というフレーズ。これカーペンターズとかが歌ってたなと思ってちょっと調べたら、クリスタルズという女性グループが62年に発表した曲らしく、プロデュースはあのフィル・スペクターだそうな。この曲「悲しきプロボウラー」のアレンジにもウォールオブサウンドっぽい感じがある。そんなこんなで昔懐かしい洋楽へのオマージュが感じられてとても良い仕上がり。

歌詞もプロボウラーの世界を描きつつ人生普遍の悲哀や切なさも感じられて共感できる。

ただ一つ悩んだのはラストの“round and round and round...”というフレーズ。これ聴いたことあるけどビートルズだったかな?ビーチボーイズだったかな?と悩んだ挙句、詳しい人に訊いてビートルズの“DEAR PRUDENS”だと知るまでにはかなり時間がかかった〜♫

 

‪SMILE~晴れ渡る空のように~‬

民放共同企画“一緒にやろう”応援ソング。

今日2020年1月24日18時40分。全国の民放局が同時放送した番組で初公開された。

初めて聴いた曲なのに歌詞もメロディもスーッと心に染み込んでくる。まだ2回くらいしか聴いてないけど、サビのメロディはほぼ覚えたし、いろんな想いが次々と浮かんできていろんな人の顔が浮かんでくる。理屈や言葉を超えた「音楽のチカラ」を感じさせる名曲。桑田さんがこれまで世に残した500くらい?の曲の中でも指折りに数えられる歴史的な曲だと思う。

東京VICTORYの盛り上がりもいい。切ないバラードもいい。でもこの曲は意外なほど抑制の効いたミディアムテンポの曲だけどこれほど感動的に仕上がるとは。

なんでこんなに普遍的な価値を持つ名曲なのかと考えると、それは「視点」だと思う。直接オリンピックパラリンピックのことを歌うわけではないが、間違いなく題材はそこにあるわけで、この年、この時を共有する全ての人を見つめてSMILEと語りかける視点が普遍的。オリンピックパラリンピックに出る人、観る人、支える人、関係ないけど同じ時代を生きる人。全ての人にその視線は注がれている。

いったいどれだけ沢山の人がこの曲で勇気づけられ、悲しみや苦しみを乗り越えるチカラを得るのだろう。

以上、初めて聴いてまだ1時間くらいしかたたないけど、思ったことをとりあえず書き殴ってみました。

愛はスローにちょっとずつ

2019年8月12日配信。「ふざけるな!」ツアーで初めて披露された新曲。「ツアーの中でお客さんと一緒に育てるというか熟成させていきたい曲」と桑田さんは言ってた。ライブの中盤で演奏され、確かにこのツアーの一つのポイントになる曲だった。

サザンのシングルとしては久しぶりのバラード。Blue Heaven以来?

ライブには3回行ったけど、1回聴いてサビは覚えてしまいそうなほど印象に残った。「愛はスローにちょっとずつ」育っていくのかと思ったら「セピアに染まる」んだって。この儚さがたまらない。大人の歌って言う感じ。

シンプルで抑制の効いたバラードだけど、間奏のギターソロはジョージハリソンみたいでカッコよくかつ切なくて感動的。

またミュージックビデオもいい。やや寂しげな海の映像にライブ映像もインサートされて、すでに記憶となったあのライブの興奮と感動が自然に蘇り、胸が熱くなる。

残念ながらチャートの1位は獲れなかったみたいだけど、またライブでもやってもらって、ファンの中で長く輝き続ける曲になって欲しい。

ライブレポート【ネタバレ注意!】サザンオールスターズLIVE TOUR 2019〝キミは見てくれが悪いんだからアホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!?ふざけるな!!2019.05.18-05.19福岡ヤフオクドーム(2)

ここまで20曲だが、まだまだ中盤!あまりメジャーとは言えない、やや重苦しいムードでライブは進んできたが、ここから雰囲気は一変!

21. 当たって砕けろ
22. 東京シャッフル
23. DJコービーの伝説
24. わすれじのレイドバック
25. 思い過ごしも恋のうち

ガラッと雰囲気が変わり、スクリーンにはカラフルな「SOUTHERN ALL STARS」の文字が浮かび、関口ムクちゃんのベースはモータウンぽいリズムを刻む。前のパートの重苦しい雰囲気から一気に明るくて楽しい雰囲気に。しかも曲は滅多にライブでやらない「当たって砕けろ」!今回始めて、デビューアルバム「熱い胸さわぎ」からの曲。この構成が桑田さんの「大いなる裏切り」であり、このギャップがあまりにも大きくて、会場の客もここまではやや戸惑いがちだったのが、ようやく「普通に」ノリノリになってくる。とにかくここからの盛り上がりは尋常じゃない。この曲の♪Wooo, Wanted!なんてフレーズも楽しくってしょうがない。

「当たって砕けろ」から切れ目なしに「東京シャッフル」へ。テンポよく明るい曲が続く。「D.J.コービー」の前はあの「ベストヒットUSA」のテーマソングが流れ、スクリーンに小林克也氏が登場。往時を彷彿とさせるDJぶりで“The Legend of D.J. Koby”と紹介されてこの曲がスタート!リアルD.J.コービーの登場に会場は大盛り上がり!こんなストレートなロックンロールもこのライブではこれが初めてで、ここもひとつのハイライトになった。小林克也氏の映像は、曲の間も、終わってからも続き、最後は“See you next week.”というお決まりのフレーズで締め。

さらにさらに!次の「わすれじのレイドバック」の感動は忘れられない。レコードではイントロはふわっとした始まり方だけど、同じメロディながらここではバスドラムなんかが入ってインパクトの強い、感動的なイントロになっていた。しっとり聴かせるというより、レコードよりわずかにテンポが早くてちょっとリズミカルな感じ。映像では初期のサザンの写真がモノクロで映し出されてなんとも言えず感動的。昔のことを思い出して、っていうのもあるけど純粋に今ここで聴いているこの曲の素晴らしさに感動して、ここは思わず落涙。この曲のメロディはホントに最高。最後の♪ラララ~ララ~ララというパートでは両手を大きく広げて左右にウェーブ。桑田さんもこの時はアコースティックギターから手を放して、また楽器を持っていないTigerやODYのコーラス陣も、そして広いドームの観客全体が。圧巻。レコードではここの歌詞は“Everything is alright now. I believe in you just forever.”とかだけど、ここは「一人じゃ泣いたって情けないまで」「ひと夜の恋なんて夢見てるようで」と来て、最後は「ひとりひとりを抱きしめたいのさ」そして「Oh, Oh, Oh, Oh~」で終わり。感動しかない。このパターンは25周年ライブでもあったけど、あの時はメドレーのラスト。今回はフルコーラス。この曲をフルコーラス演奏したのって、いつぞやの年越しライブを映像で観たことあるけど、ほんとに久しぶりじゃないだろうか?

初日にスタンドから観てた時、「レイドバック」の途中でステージ下にぞろぞろと10人くらいのスタッフが集合して中央付近に進んでいくのが見えた。「もしや?」と思ったら、果たしてこれは思い過ごしも恋のうちのイントロでチープな紙テープをステージに放り投げる人たちだった!このチープ感は明らかにデビュー当時を意識したものだろう。「レイドバック」の感動のあとだけに「思い過ごし」のイントロでは会場は爆発したと言ってもいいくらいの盛り上がり!ステージのメンバーも含めて全員がノリノリ。サビの部分ではみんなで両手を前後に振るのがお決まりになったようだ。「当たって砕けろ」からのこのコーナーは78年、83年、82年、80年、79年ととにかくデビューの頃の初期の曲を集中投下していて、しかもストレートに心や身体に響く曲ばかりなので、まあ盛り上がる盛り上がる。間奏のギターは桑田さんと誠さんのツインで向いあうようにして弾いていた。こういうシーンもライブの中で毎回1度はあるけど、二人の息の合ったプレイも40年以上の年月を超えたもの、と思うと感慨深い。「思い過ごし」は今回一番盛り上がった曲のひとつかもしれない。

26. はっぴいえんど

27. シュラバラバンバ〜VENUS~恋の季節
28. マチルダベイビー
29. ミスブランニューデイ
30. イエローマン
31. マンピーのGスポット

ここでまた雰囲気が変わって2015年のはっぴいえんど。これはまた人気曲。ここで意外だったのは、映像は何もなくて(!)桑田さんはここまでギターを持っていたのが手ぶらになってハンドマイクでステージ両サイドを移動しながら隅っこのファンに手を振り、「ありがとね」と声をかけながら歌っていた。1番では上手(ステージ向かって右側)、2番では下手(同左側)へ。このリラックスした感じと、曲の持つ「仲間」とか「大切な人」を思う気持ちがまた感動を誘う。またライブでいつも思うけど間奏のバンドアンサンブルが最高。この辺になるともう夢うつつ状態。

たいていのサザンのライブでは、後半の盛り上がりに入る前はバラードでしっかり感動させて、というパターンが多いけど、そうじゃないこともある。今回はそのパターン。「はっぴいえんど」から「シュラバ★ラ★バンバ」へ。この曲ではまさに90年代!のジュリアナ風の衣装と扇子で飾ったダンサーが現れて、桑田さんも扇子を持って、サビではジュリアナ風に頭の上で扇子を振る。お客もそれを真似して大盛り上がり。また、2番のサビから少しキーが上がるところで曲調が変わった。なんか聞いたことある曲だなぁと思ったら、これは確か80年代に流行ったBananaramaの“VENUS”だ!♪I'm Your Venus, I'm Your Fire, Your Desire.というヤツ。ただし歌まではいかず、イントロだけだったので気付いた人は少なかったかも?そしてそこからさらに曲が変わって、♪忘れられないの あの人が好きよ 青いシャツ着てさ 海を見てたわ・・・ピンキーとキラーズ恋の季節!昭和の歌謡曲!シュラバ★ラ★バンバにこれをぶっこんでくるとはビックリ!そしてまたシュラバ★ラ★バンバのサビに戻って大盛り上がり♪この曲はもっとライブでやって欲しい!

ここからは最後の怒涛の連チャンノリノリコーナーへ。「マチルダBABY」はいつもの通り。炎の玉(これ広いドームの中でもあの熱が伝わってくるから凄い)と爆竹の特効、「HEY!HEY!」というシャウト、これぞサザンのライブ、という熱気はこの曲を最初にライブで聴いた83年から変わらない。当時は特効はなかったけど。

「マチルダミス・ブランニュー・デイが続くパターンはよくある気がするけど、何度聴いても、「ブランニュー・デイ」のイントロが始まった時の盛り上がりは凄い!「マチルダ」もそうだけど、この辺りは偉大なる予定調和というか、これがないと始まらないというか、新鮮さや意外性は全くなくて毎回同じパターンなんだけど、毎回必ず自分の中でグッとくるものがある。またこの曲もライブが真骨頂だろう。毎回違う間奏は、昨年の「40周年キックオフ」「Rock In Japan Fes」以来のちょっとハードなバージョン。

たたみかけるように「イエローマン」のイントロ!そしてあの謎の黒マントの仮面男が登場!この男こそがイエローマンだったんだ!途中メンバー紹介やムクちゃんのダンスのコーナーはここの伏線だったということがようやくわかる。この手法は2017年の「がらくた」ツアーでの「ヨシ子さん」(途中で謎の映像が流れて後半でヨシ子さん登場)以来か。ステージ上はイエローマンやら水着の女性ダンサーやらが入り乱れて大騒ぎ。会場大盛り上がり。🎵Tururururu〜ではみんなで両手を波のように動かすイエローマンポーズ。もう楽しくって仕方がない!

そして間髪を入れず重いベース音がリズムを刻む。「マンピーのGスポットへ!今回もマンピーヅラは「マイクを握ってろ!」バージョンだが、より進化してなんとなく男のイチモツを思わせるマイクを赤いマニキュアの手が握ってるというデザイン。なんか旗が立ってるなと思ったら「福岡好いとうよ」というメッセージだった!もうこの辺はとても冷静ではいられなくて、記憶も定かでないくらい。パンツを頭からかぶった男のダンサーがたくさん出てきて、桑田さんを挟んで桑田さんが困ってるという設定。これは昨年の「ROCK IN JAPAN」以来のパターン。盛り上げるだけ盛り上げて、曲が終わると、突然寂しげなメロディで「パンツを頭に被ったら、勉強ができなくなっちゃうよ」とか「お化けに会っちゃうよ」という桑田さんのおかしな歌が流れ(これはライブではなくて音源だった)、ダンサーが我に返って床に落ちたパンツを拾ってすごすごと寂しそうに引き上げる、という設定。「マンピー」でバーンと盛り上げながらなんとなく盛り下がって本編終了という、ワザと中途半端なままでアンコールへ。

 

でも客はみんな疲れ切っていて(メンバーはいつまでも若いけど、ファンはやはり高齢化の波には逆らえない?)、みんな座り込んで拍手や手拍子をする元気もない。ウェーブも起きない。

それでもサザンは再び出てきてくれる!

いつものようにメンバー、サポートメンバーみんなツアーTシャツを着て。でも桑田さんだけはツアーTシャツではなくて、また違うTシャツを着ていた。


32. I AM YOUR SINGER
33. LOVE AFFAIR〜秘密のデート
34. 栄光の男
35. 勝手にシンドバッド
36. 旅姿六人衆

I AM YOUR SINGERはやっぱり感動的な曲で、あの2008年の「大感謝祭」(無期限活動休止ライブ)以来、この曲がライブで聴けるとは思っていなかったので感動。桑田さんはここでもステージを上手から下手へと動き回り、会場全体に手を振りながらこの曲のメッセージをリスナーひとりひとりに伝えようとするかのように歌う。終盤に「太陽が沈むのをOh, Oh, Let's sing along. 止めて」という歌詞があるが、まさに「ここで時間を止めて!」という心情だった。

そしてこの後がプチ・サプライズ!4月に聴いた広島ではこのあとは「栄光の男」だったが、福岡ではここで港を思わせる汽笛の音などが・・・あれ?広島と変わってる?と思ったらやはり「Love Affair~秘密のデート」だった!順番が変わってる!この曲はサザンの全楽曲の中でも有数の人気曲だしライブの定番曲なので、ここは「みんなで歌おうコーナー」という感じ。「ボウリング場でカッコつけて」というところがこれまでよりも強調されていて、早くからボウリングのピンが大きく映像で映し出されていた。最後のコーラス部分では“The night we met I needed you so.”というザ・ロネッツの名曲“Be My Baby”の一節を取り入れていた。フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドつながりのリスペクトだろうか。こんな細かなこだわりもファンとしてはすごくうれしい。

そして長嶋茂雄さんのあの有名な映像「我が巨人軍は永久に不滅です!」から「栄光の男」。1974年の大学生桑田佳祐もこの映像を見て、2013年になってこの曲が誕生した。広島の時とは「Love Affair」と順番が逆になっている。もう残り少ないし、個人的に大切な曲なのでここも食い入るように聴く。2番からは映像は「平成の栄光の男」イチローの映像に変わる。この曲はいつものように桑田さんはアコースティックギターを抱えて歌う。「終わりなき旅路よ明日天気にしておくれ」。

この後は広島同様「ロックンロールスーパーマン」を期待したが、あれ?様子が違う。

毛ガニがおもむろに「はじめまして!パーカッションの毛ガニです!」と語り始めた。*毛ガニはメンバー紹介でスルーされて紹介してもらってない…  「でも桑田!酷くない!?僕を無視するなんて!僕だって、サザンが大好きなんだ!!」そして毛ガニがリズムを刻み始めた!

!!!あ!!!これは!?まさかの!?

桑田さんが「Oh Yeah〜!」と客を煽り始める!

なんと禁断の(?)勝手にシンドバッド!!

あの紅白歌合戦のあとだけにもともと今回のツアーでは絶対やると思ってたけど、広島では演奏されなかったのが凄く意外で、それはそれで桑田さんのある種の「裏切り」〜シンドバッドはなくてもファンを楽しませてやる!というこだわり、決意の表れなのだろうと解釈していた。それが、5月4日放送の「夜遊び」で、ライブ後のファンのアンケートを読んでいて、「あの部分は××と同じでしたね。」という指摘があったそう。実はそこは桑田さんも気にしていたところらしく、痛いところを突かれたらしい。それで「今回は絶対やらないと決めていた曲を引っ張り出した」と、ライブの内容、構成を途中で変えたことを示唆していた。たしかに、「Love Affair」〜「ロックンロールスーパーマン」という流れは昨年の「40周年キックオフライブ」(NHKホール)のアンコールと同じで自分も気にはなっていた。だから今回「Love Affair」と「栄光の男」の順番を変えてきたのかと思ったし、もしかして別の曲の投入があるのか?とは思ったが、まさか2005年の発表以来どんなライブでも必ず演奏してきた「ロックンロールスーパーマン」を外すとは思わなかった!さらにまさか「勝手にシンドバッド」が入るとは!

でも個人的には、また会場全体としても、ここは超超ビッグサプライズで、最大の盛り上がりとなった。🎵ラララーラララで銀打ちテープがバーン!あの紅白の印象があるだけに、ここで聴く「シンドバッド」は最高!!

いよいよ最後の曲がやってきた。短いMCの後で「最後の曲を聴いてください」と言って始まった「旅姿六人衆」。映像には「旅姿四十周年」と表示された。サザンは今六人衆ではないからだろうか?ファンの方を指差しながら「お前が目の前にいるならいい」と歌われるとこっちも涙を堪えられなくなる。「華やかな者の影で今 動く男達」は「〜動く仲間達」(今は女性スタッフも多いのだろう)、「Mr. Suizuらがいてくれたら」は「Mr. Nanyaさんらが〜」(現在の舞台監督)へ変えて歌っていた。ラストの🎵ラララーという“Hey Jude”を思わせるコーラスはみんなで両手を広げて大きくウェーブさせる。もう一度最後に桑田さんのボーカルだけで🎵お前が目の前に〜と歌い、最後は🎵福岡でまたやろうね みんな元気でまた逢おうね 福岡でまたやろうね〜 みたいなエンディング。ここのメロディは「20周年渚園ライブ」のラストで演奏した時に「Do you remember love is forever ?」と歌っていたのと同じメロディ。なんとも言えない感動的なエンディングだった。

終わっていく寂しさ、圧倒的なパワーやエネルギーをもらった興奮、感謝、いろんな感動が渦巻いているけど顔はひたすら笑顔になってる。

エンディングはいつものように簡単なメンバー紹介とともにみんなステージ前方に整列(ここでも毛ガニはスルーされていた)してご挨拶。いつもはサザンの最新曲がBGMとして流れるが、今回は茅ヶ崎の大先輩、尾崎紀世彦また逢う日まで。サポートメンバーやダンサーは退場してサザンの5人だけで再びステージを端から端まで移動して挨拶。いつものように手厚いエンディングだった。最後は「福岡バンザーイ!」と万歳三唱で終了。

考えてみるといつもにも増してダイナミックな構成だけど凄いパワーを感じ、エネルギーをもらったライブだった。ファンの顔ぶれもかなり年齢が上がってるのがわかるけど、こんなオジサンやオバサンが派手なツアーTシャツを着て群がるというのがよくわかる。今このライブを形容するのに一番しっくり来る表現は「愛と生命力」という感じかな?

2日間で計7時間。ずっと笑顔でいられるこんな時間って間違いなく他にない。

ライブレポート【ネタバレ注意!】サザンオールスターズLIVE TOUR 2019〝キミは見てくれが悪いんだからアホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!?ふざけるな!!2019.05.18-05.19福岡ヤフオクドーム(1)

福岡ヤフオクドーム公演に2日連続で参戦。席は1日目はスタンド左側前方。野球でいうと左翼ポール付近で、前ではあるがステージ真横に近く、ステージのスクリーン等は見えない。音もあまり良くなかった。2日目はアリーナBブロックの5列目、最前列から数えて25列目。やや左寄りだけどここは素晴らしい神席だった。桑田さんはじめメンバーみんながよく見えて、演出もよくわかるし、音響も良かった。

初日は開演前ウェーブが湧き起こってスタンドまで回ってきていた。

01. 東京VICTORY
02. 壮年JUMP
03. 希望の轍

ステージは全体に大きな白いジョーゼットで覆われていて、開演時はそれをスクリーンとして時計が回る映像が映し出され、1978(サザンがデビューした年)から1979 1980 1981と次々と数字が映し出されて年月の移り変わりをイメージさせる。2019で映像が決まると、今度はサザンのメンバーのシルエットが。会場大歓声!そして♫Oh oh oh〜という「東京VICTORY」のコーラスが!「時を駆けるよTime goes round」で桑田さん1人のシルエットに。そして、「それ行けGet the chance !」でジョーゼットがスーッと落ちて、ステージ上のみんなが姿を現わす!桑田さんはアコースティックギターを弾きながら!会場はいきなりの「東京VICTORY」という選曲とこのオープニング演出でいきなり興奮と熱狂は頂点に!

  Oh oh oh〜というコーラスも、Hey! Hey!で拳を突き上げながらのシャウトも、早くも会場一体となってすごい盛り上がり。“TOKIO the world is ONE!”のところはもちろん“FUKUOKA the world is ONE!”に!Hey! Hey!のパートはレコーディングバージョンより少し長かった。

1曲終わると「ありがとう!」と桑田さん。今回とにかく殆どの曲で、終わるごとに「ありがとう!」と言ってたのが印象的だった。

桑田さんのいでたちは赤いTシャツに白いジャージーのようなパンツ。靴はアディダス。髪型はリーゼントでバッチリ決めていた。

「壮年JUMP」は2番の歌詞を変えた40周年バージョン。「アイドル、アイドル(アイドル!)」というコーラスや「シャワッシュワ」というところの会場の反応などで、この曲がファンに人気があるのがよくわかる。

希望の轍が始まる前にはえぼし岩の空撮(ドローン)映像とともにブラスセクションによるちょっとした前振りがあった。この曲は新鮮さはないがライブで聴くといつも胸が締めつけられるような感動がある。2曲目もこの曲もエレクトリックギターを弾きながら歌う。この曲をギターを持って、というのはかなり珍しい?サビの後半Oh my, oh yeah!というところだったか、強烈なシャウトを聞かせていた。もちろん2番のサビ前のBaby Love!も。

短いMCのあと次のパートへ。

04. 闘う戦士達へ愛を込めて
05. SAUDAGE〜真冬の蜃気楼
06. 彩
07. 神の島遥か国
08. 青春番外地
09. 欲しくて欲しくてたまらない
10. Moonlight Lover
11. 赤い炎の女

12. 北鎌倉の思い出

3曲めまではメジャーな曲、新しい曲で、ガッツリ我々観衆の心を掴み、ここからは徐々に熱狂からリラックスへと落ち着かせていく。

「闘う戦士(もの)達へ愛を込めて」はほぼレコーディングバージョンと同じイメージ。ここまでは元気のいい曲で来て、次の「SAUDADE〜真冬の蜃気楼」でぐっと落ち着かせる。

ここからはシングルヒットやライブ定番曲は少なく、意外性のある曲が増えてくる。個人的には「彩〜Aja〜」が聴けたのが今回のライブの目玉の一つで、ここは食い入るように聴いた。広島では間奏のギターソロはエレクトリックだったと思うが、福岡ではオリジナルに近いイメージのアコースティックギターになってた。

神の島遥か国では三線の(実際はシンセサイザーか?)のインタールードがいかにも沖縄音楽というムードを高めていた。サビではいつものように大きく両手をウェーブさせるのが楽しい。

「青春番外地」も大好きな曲。ストーリー性のある歌詞に合わせて映画のような映像が曲のムードを盛り上げる。個人的に大好きな曲なのでこの曲を取り上げてくれたのが嬉しい。

「欲しくて欲しくてたまらない」は幅広い音程を行き来する激しいボーカルがたまらない。後半のジャズっぽいパートはオリジナルとかなり違ったアレンジになっていた。

「Moonlight lover」も人気曲で久しぶりの演奏。イントロが始まると大きくはないがさざめくような拍手が沸いていた。

だんだんと選曲が古くマニアックに。スパニッシュギターとフラメンコのような踊りがあってそのまま始まったのは「赤い炎の女」。ここでまた会場が弾ける。個人的には終盤の「シェキ!(Shake It! )」というブレイクが久しぶりでなんとも心地よかった!懐かしい!!

そして原坊の「北鎌倉の思い出」は原坊の透明感あふれる歌声と、桑田さんやタイガーの綺麗なハーモニーが印象的だった。

 

ここでいつものようにメンバー紹介。「絶倫チェリーボーイ」斎藤誠(g)、「顔面世界陸上Tiger(cho)、「親友でラッパー」小田原ODY(cho)、「ラッパーではない」と否定するODYに桑田さんが「ラッパーだろ?」と言いながらタッパーや菜っ葉、やカッパを持ち出して迫る、みたいなギャグを見せたあと、ODYとTigerの息のあったラップを聴かせるという楽しい一幕もあった。野村萬斎柴田恭兵のモノマネを見せた片山敦夫、ブラスはいつもの山本拓夫(sax)、福岡県飯塚市出身の吉田治(sax)、バツ4の菅坂雅彦ガチン(tp)。

サザンのメンバーは宮崎出身という事でジャイアンツの帽子をかぶって、子供の頃ジャイアンツのキャンプを見に行った思い出をホークスの本拠地ヤフオクドームでとうとうと語る松田弘。デビュー当時の福岡の屋台で元気をもらったという原坊。実はダンサーになりたいんだと初めて明かす関口ムクちゃん(後でわかるがこの話は伏線だった)。時間がないからとスルーされた毛ガニ(実はこれも伏線だった)。毛ガニ、原坊、ムクちゃんは最初それぞれにお面をつけて出てきた。毛ガニはSEKAI NO OWARIのピエロみたいな人、原坊は忍者ハットリ君、ムクちゃんはカールおじさん。あと、1人ずつ「ここで一句」もあってなかなか盛り沢山なメンバー紹介だった。

そしてメンバー紹介の間中ステージの片隅に謎の黒マントに仮面の男が。そしてメンバー紹介が終わると謎の笑い声を上げながら去っていった。謎だらけだけどこれも後でわかる伏線だった。

13. 古戦場で濡れん坊は昭和のヒーロー
14. ジャパネゲエ
15. 女神達への情歌

16. 慕情

ここからはさらにマニアックコーナー。

「古戦場で濡れん坊は昭和のヒーロー」は最近になって好きになった曲で、今聴くと凄く先進的な曲だとわかる。ザ・ポリスの影響か?「ジャパネゲエ」は発表当時からポリスの影響を感じさせていた。しかしこの辺はライブでは滅多にやらないし、よく知らないリスナーも多かったのでは?「女神達への情歌」はブルースっぽい曲調とビーチボーイズのようなコーラスの組み合わせが新鮮。広島で聴いた時より、後半のアレンジがど迫力で凄かった。今回のライブのヤマ場の一つ。

でもやっぱりこのコーナーの1番の感動は「慕情」。一音一音を丁寧に歌う桑田さんのボーカル、ピアノを中心としたシンプルな演奏、ステージ上からのシンプルな照明演出。あまりにも儚くてあまりにも美しい曲。今回最も印象に残った曲の一つというファンは多いのでは?1番が終わって2番が始まる間のつなぎがCDより少しだけ長くて、その間にさざめくように鳴る拍手が印象的だった。また曲の後半でスクリーンにはどことなく寂しく寄せては返す波打ち際の映像が流れていた。

17. 恋はスローにちょっとずつ(仮)
18. 行け!力道山
19. CRY 哀 CRY
20. HAIR
✳︎忘れられたBIG WAVEとムクちゃんハワイアンダンス

そして短いMC。このツアーの間に新曲をお客さんと一緒に育てていきたい、と紹介して「恋はスローにちょっとずつ(仮)。広島に続いて2度目3度目だったけど、曲が成長したのか、胸にズーンとしみるようなバラードになってた。覚えている歌詞は、「恋はスローにちょっとずつセピアに染まる」「I don’t cry もう泣かないさ 一人で生きるんだ」「君だけが夢に訪れる」「君だけが希望の光」恥ずかしながらちょっと涙が溢れた。もしシングルになったら、サザンとしては久しぶりのバラード。リリースが楽しみだ。

スクリーンにはモノクロのプロレスの映像が流れる。少しイントロがあっての「ゆけ!力道山。この曲もライブで聴くとカッコいい!特に後半のブラスのパートは汗が飛び散るほど狭いライブハウスで聴く熱気ムンムンのリズム&ブルース!間奏のギターソロは桑田さん。後半で「Let me hear you say yeah! (Yeah!)聴かせてくれyeah!(Yeah!)」みたいなコール&レスポンスあり。

「CRY哀CRY」は90年代半ばのRADIOHEADバリのハードなロックに乗せて、恋に焦がれる狂おしいほどの想いを万葉ことばで表現しているが、珍しく歌詞に日本語なのに現代語訳がついていた。迫力と、歌詞の情念みたいなものに圧倒される。

そしてそこから切れ目なく「HAIR」につながるがこのあたりがライブのひとつのクライマックスだったと言っていい。

ここで「ちょっと休憩」コーナー?「忘れられたBIG WAVE」がライブではなく音源で流れ、ムクちゃんが男性ダンサー2名とダンスを披露。一瞬意味がわかないが、スクリーンには「ムクちゃんはダンサーになる夢を叶えている最中です」みたいなスーパーが。メンバー紹介の時に「ダンサーになりたい」と夢を語っていたのでそのことを指している。広島の時には確かこのスーパーはなかったと思うし、ここでようやく会場の来場者は理解したのではないか?

そしてこのつなぎで再び黒いマントの仮面男が登場。高らかに笑い声を上げながら去って行った。観客唖然。初日には「誰〜?」という声が会場から上がり、ウケていた。

 

次回へ続く。