マチルダBABY/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

01. マチルダBABY

イントロのシンセサイザーの音は衝撃的だった。サザンがテクノをやるとは想像もしていなかった。そのあと入るサックスのフレーズも聴いたことがない。でもこれはよく聴くと当時ちょっと流行ったニューウェーブバンドMen At Work のWho Can It Be was Now?にこんなフレーズがあったような?

それまでのサザンは、ルーツミュージックをペースに60年代から70年代初期の音楽を拠り所としていたけど、ここへ来て時代に歩調を完全に同期させたと言えるかもしれない。そう感じた象徴的なアルバムが「綺麗」であり、象徴的な曲が「マチルダBABY」だと思う。

とは言っても、「Big Star Blues」や「ボディスペシャルⅡ」のように、この曲もレコーディングはイマイチ。レコードやCDではこの曲の魅力を充分に表現しているとは言い難い。一度でもライブでこの曲を聴くとはっきりわかるはず。この曲もライブ定番曲の一つで近年では2015年「おいしい葡萄の旅」2013年「灼熱のマンピー」活動休止前の2005年「みんなが好きです」で演奏された。正直、ライブでこの曲を聴くのは最高だけど、レコーディングバージョンはなかなか聴く気にならない。

歌詞についてちょっと。ドラマ仕立てのサスペンス、スリラー的なストーリーが展開する珍しい歌詞。でも実は桑田さんの曲にはこういう曲が結構多い。それを辿っていくだけでも興味深い連鎖が楽しめるのだけれど、それはまた「メリケン情緒は涙のカラー」の稿にでも。