闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて

56枚目のシングル  2018.06.15配信  桑田佳祐62歳

これをシングルと呼んでいいのかどうかわからないが、とうとうCDではなく配信のみとなった。シングルと呼ぶなら、サザンとしては2014年9月の「東京VICTORY」以来。

映画「空飛ぶタイヤ」の主題歌。映画は池井戸潤さん原作の話題作。中小企業の社長が大手自動車メーカーの巨悪に立ち向かう的な?映画も原作も見てないので詳しくわからにけど。桑田さん本人もコメントしているように、映画の影響を強く受けた曲。

パイプオルガンを思わせるイントロで始まるスケールの大きいバンドサウンド。ところどころにデジタル・テクノロジーも活用しているようだ。ちょっとザ・バンドボブ・ディランなんかの影響もみられるような気がする。

この曲の最大の魅力であり特徴は、歌に込められたそのメッセージだろう。現実は映画ほどドラマチックではないけれど、仕事をしているとさまざまな不条理を抱えながらも、なんだかんだ飲み込んで生きていかなければならない。疲れ果ててしまうこともある。それは誰もが経験することだと思うけど、桑田さんはそんな我々に「しんどいね 生存競争(いきていくの)は」と語りかける。タイトルは「闘う」とか「戦士」などとちょっと過激な言葉が並ぶけど、歌の内容は、そんな不条理とともにいきていく我々みんなを理解し、寄り添うようなメッセージが強い。ちょっと「栄光の男」みたいな感じも?そんなメッセージにシンパシーを感じてホロっとしてしまう。

「西陽が俺の孤独を憐れんで 振り返ればそこに長い影」なんてね。