NIPPON NO ROCK BAND/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

NIPPON NO ROCK BAND

1986.07.14 KUWATA BANDのファーストアルバム

1年間限定のバンドとして活動したKUWATA BANDの唯一のスタジオアルバム。全編英語のオリジナル曲でアルバムタイトルの通り、ハードなロックナンバーが多い。

サザンでのデビュー当時から、欧米で育まれたロックミュージックに日本語を乗せる苦労や葛藤を抱えながら歌ってきた桑田さんだが、当時はあわよくば海外進出みたいなことも考えていたのではないかとも想像する。またそのために解消しなければならないのが言葉の壁、という意識はあったのだろう。結局ロックは欧米の音楽なのか?みたいな議論は当時はまだあったし、じゃあ日本人が作るロックを英語で歌ってみたらどうなるんだ?という冒険がこのアルバムなのか。

NIPPON NO ROCK BANDという、日本語をわざわざローマ字表記にする、でも表記だけ変えたからといってそれが英語になるわけではなく、それはどこまで行っても日本語、という矛盾をはらんだタイトルの通り、これは桑田佳祐という日本人が作った欧米の文化「ロックミュージック」。これはいったい欧米の音楽なのか日本の音楽なのか?みたいな、当時は必要だった冒険なのだろう。より文化が多様化しボーダーレスになった今(2018年)では誰もそんなことは言わない。どこで誰が作ろうが関係ない。という時代になっているが。

サザンのシングル“Tarako”の時にも感じた、普通にカッコいいロックで、桑田さんぽくない、というリアリティのなさをかんじてしまう。