汚れた台所(キッチン)/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

05. 汚れた台所(キッチン)

ハードなボブディランといったところか。この曲もアルバムを象徴する1曲で、打ち込みなどはあまり使用せず、ほぼサザンのメンバーだけでの一発どりだそうな。歌い方や歌詞の内容はボブディランみたいだけど、演奏はグイグイ引っ張っていくようなドライブ感にあふれている。

この頃はバブル崩壊後の長い経済の低迷期にもあたり、社会全体としてもかなり先行き不安が大きくなっていた時期で、この曲などはそんな世相も反映し、社会の暗い部分をえぐり出しながら「絵に描いたシンボルたちやロックンロールは死んだ」と破れた夢を哀しみ、「平和という神経ガスにCheers!」と警鐘を鳴らす。

その意味では大変に重要な曲で、70年代や80年代前半なら考えられないようなサザンの姿があり、バンドとしての成熟を感じさせる。

ライブでも時々演奏されていて、自分は99年の「セオーノ・ルーハ・ナ・キテス~素敵な春の逢瀬」ツアーで聴いたが、それよりも、映像でみた2005年の「ロックインジャパンフェス」が印象に残っている。