TSUNAMI/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

TSUNAMI

2000.01.26  44枚目のシングル

説明の必要もないほどの、サザン最大のヒット曲で日本レコード大賞受賞曲。オリコンチャート通算5週1位、2000年オリコン年間チャート1位。CDは約300万以上を売り上げ、当時の日本歴代最高の販売販売枚数となった。

イントロがなくていきなりボーカルで始まる構成はなんとなく「HEY JUDE」をして思わせる。だからかどうかわからないが、どことなくビートルズの臭いが全般にわたって漂っているような。ピアノの伴奏で歌う部分はポールマッカートニーが歌っているよう。そこからギター、ストリングスが乗ってきて徐々に厚みを増しながら盛り上がる進行は、目新しさはないがオーソドックスで真正面から取り組んだバラードの王道。まさにバラードの横綱相撲、真剣勝負、直球で勝負、という感じ。

やっぱりサザンのバラードと言えば「いとしのエリー」「yaya~あの時代(とき)を忘れない」「真夏の果実」そして「TSUNAMI」でしょう。

2008年の30周年記念「真夏の大感謝祭」無期限活動休止ライブ@横浜日産スタジアム。後半の盛り上がり前のバラードはまさに「いとしのエリー」「真夏の果実」そして「TSUNAMI」という三連発。これはやりすぎでしょう。ルール違反でしょう。この曲たちを聴くのもこれが最後かもしれないという状況の中でこの演出は、もう感動するしかないという状態だった。「TSUNAMI」についてはこれ以後演奏されていない。

というのも2011年に起きた東日本大震災津波の被害。あれ以降世の中の風潮としてこの曲をかけてはいけない聴いてはいけない、なんで桑田はあんな曲を創ったんだ?みたいなものがある。震災よりも11年も前に創られた曲にそのような批判はまったく当たらないと思うが、桑田さんもかなり気にしているのも事実。ほぼ封印されたに等しい状態となっている。

実は今年の40周年キックオフライブで、この曲を演奏してくれるのではないかという期待が個人的にあったのだが、それもやはりかなわず。その後、企画アルバム「海のOH YEAH!」の1曲目に収録されることとなり、それについて桑田さんはラジオでこのように語っていた。「このアルバムに収録するについては、スタッフがこの曲順を提案してきて、考えた結果これもいいなと感じた。ライブで演奏しないことについては、それもひとつのメッセージになると考えている。まだあの震災は終わっていないしね。」と。震災からの復興が始まるタイミングと、桑田さんが癌との闘病から復帰を始めるタイミングがほぼ重なり、桑田さんは自分の復帰ライブの地に宮城を選んだこともあり、東北の人々には常に心を寄せているのは周知の通り。この曲に対する思いも、我々には到底知り得ない複雑なものがあるだろう。桑田さんはこうも語っていた。「いつか東北の復興の象徴として、この曲を歌える時が来るといいな。」