LIVE REPORT【ネタばれ注意!】サザンオールスターズ LIVE TOUR 2019“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!だと!?ふざけるな!!”広島(1)

2019年4月4日(木) 広島サンプラザホール 

通算サザン/桑田さん47回目のライブ参戦。平成に入って23回目。これで自分としては平成最後。広島はサザンとしては2015年以来、桑田さんソロも含めると2017年以来。広島サンプラザホールは1992年以来なんと27年ぶり。最近はもっぱら広島グリーンアリーナだけど今年はとれなかったのか?

席はアリーナのほぼど真ん中。ステージ全体が見渡せるし、音もよく聴こえていい席だった。

午後6時31分。開演前のアナウンスが終わり会場暗転。ステージ上には大きなカーテンのような幕が下りていて、それをスクリーンとして、1978年(サザンがデビューした年)から1979・1980・・・・・・・と、時計が回る映像とともに年月の過ぎ去る様子をイメージさせる映像。そして2019で映像が決まると、そこにサザンの5人の黒いシルエットがうかぶ。すでに会場は総立ち!大歓声!

注目のオープニング曲は、なんと「東京VICTORY」

2018年「ちょっとエッチなラララのおじさん」→茅ヶ崎に背を向けて

2017年「がらくた」→しゃあない節

2016年「ヨシ子さんへの手紙」→悪戯されて

2015年「おいしい葡萄の旅」→Tarako

2014年「ひつじだよ!全員集合」→Big Star Blues

2013年「灼熱のマンピー」→海/YaYa~あの時代を忘れない

ここ最近のオープニング曲はこんな感じで、わりとゆったり始まるパターンが多かったので、いきなりの代表曲「東京VICTORY」には逆に面食らったというか意表を突かれて大コーフン。LEDリストバンドが早くも点灯。最初っからクライマックスのようにノリノリに!

「TOKYO, the world is one!」のところはもちろん「HIROSHIMA, the world is one!」と歌った!

これまでライブの終盤で歌う時には、桑田さんはハンドマイクで歌うことが多いが、今回はアコースティックギターを弾きながら。この曲は実は森繁久彌の「知床旅情」のように歌うイメージだそうだが、ギターを弾きながら、の方が実はそのイメージに近いのだろうか?

このオープニングは記憶に深く刻まれるオープニングとなった。

2曲目。なんと「壮年JUMP」!これまた意表を突かれた。ライブ終盤でやりそうな曲がいきなり続けてオープニングで。この曲は軽快なノリだし、新しい曲なので観客にもなじみが深いようで、客席のノリもいい。2番の「旅立ちの日、さよならステージよ・・・」の部分を「再会の日、また会えたね・・・」か何かに変えて歌ったのをはじめ、この曲は歌詞を結構変えて歌っていた40周年バージョン。さすがに2曲目ではダンサーの登場はなかった。

3曲目。ここはいつもドカーンと盛り上がる曲なので特に注目していたが、なんと希望の轍!前2曲がインパクト強いので3曲目も大注目だが、この曲なら文句なし!さらに盛り上がる!昨年の40周年キックオフライブや2015年の「おいしい葡萄の旅」では演奏されなかったので、個人的にはこの曲を生で聴くのはなんと2013年の復活ツアー以来。この最初の3曲はルール違反だ!?すっかりハイになってしまった。幸せ~♪

ここでいつものようにMC。あらためて、この会場は広さといい音響といい、いい距離感で楽しめる。

M4 闘う戦士(もの)達へ愛を込めて

M5 SAUDADE ~ 真冬の蜃気楼

M6 彩~Aja~

M7 神の島遥か国

M8 青春番外地

M9 Moonlight Lover

M10  欲しくて欲しくてたまらない

M11  赤い炎の女

M12  北鎌倉の思い出

ここは新旧合わせてバラエティに富んだサザンの表情を聴かせるコーナー。4曲目の「闘う戦士(もの)達へ愛を込めて」もここでいきなり来るとは思わずびっくり。オープニングからここまではノリのいい曲ばかりできて、次の「SAUDADE」で一気に雰囲気を変える。この曲は2014年の「ひつじ」のライブビューイングで聴いたけど、生で聴くのは1999年の「セオーノ・ルーハ・ナ・キテス~素敵な春の逢瀬」以来でびっくり。さらに、「彩~Aja~」はなんと自分としてはライブでは初めて!この曲も大好きな曲なだけに、思いがけずここで聴けて大感動!今回ニューアルバムがないだけにこうしたバラエティに富んだ選曲となり、こんな曲まで楽しめるのが超幸せ。次の「神の島遥か国」はライブでもおなじみの曲。イントロの前に沖縄を思わせるインタールードがあって、ちょっと「平和の琉歌」か!?と思わせたが、こちらだった。「青春番外地」は「葡萄」の中の名曲で「おいしい葡萄の旅」以来。アルバムの中ではさほど目立つ方ではないが、ツアー前に桑田さんのラジオ番組「やさしい夜遊び」の生歌コーナーで歌っていたので、この曲をライブで取り上げるのでは?という予感はしていた。「Moonlight Lover」もライブではよく歌われる曲。2013年の復活ライブでは、神戸の空に綺麗な月が浮かんでいたのをいつも思い出す。ライブも10曲近くなってきたが、序盤のノリノリからこのあたりはすっかりリラックスしていた。でも退屈させるわけではなく、自然にこの流れを構成していくところは見事というほかない。

「欲しくて欲しくて・・」にはまた超びっくり!自分としては1985年の「KAMAKURA to SENEGAL with トゥレクンダ」以来!スティービーワンダーのようなソウルナンバーが炸裂し、ここまでのリラックスムードからまた雰囲気をガラリと変えた。そして・・・前半のハイライトのひとつは間違いなく「赤い炎の女」記憶にあるのは1983年のツアー。この曲もほとんどライブでは演奏されていない。自分のような昔からずっとサザンを聴き続けて、ライブにも通い続けた人間にとっては、こんな曲がまたライブで聴けるとは予想もしなかった至福の時が続く。明らかにここまではいわゆる代表曲・ヒット曲を避けて、ちょっとマニアックな選曲で来ている。このライブ。いったいこの先どうなるのか?

そして原坊の曲は予想通り最新の「北鎌倉の思い出」。この曲はまた歌うのが難しいのではないかと思うが、少しボーカルにエフェクトをかけながらも原坊は味わい深く歌い切った。また桑田さんやタイガー、小田原なんとか君のコーラスワークも見事。

このあとはMCとメンバー紹介。ここで松田弘さんの誕生日祝い!でっかいバースデーケーキがステージに運ばれ、みんなでお祝い。この日にたまたま居合わせることができてハッピーだった。

今回のサポートメンバーは、おなじみの斉藤誠(ギター)片山敦夫(キーボード)山本拓夫(サックス)菅坂雅彦(トランペット)とサックスがもう一人(ザベストテンで吹いてた人)、コーラスがタイガー、とおなじみのメンバーに今回初参加の小田原オディ君。残念ながら今回金原千恵子さんはいない。

今回は事前に全36曲という情報があったので、まだまだライブは前半。これからいったいどうなるのか?

 

M13 古戦場で濡れん坊は昭和のヒーロー

M14 Japaneggae(ジャパネゲエ)

M15 女神達への情歌~報道されないY型(けい)の彼方へ

M16 慕情

再び曲に戻って始まった曲はなんとびっくり!「古戦場で・・・」この曲もまさかという選曲。このあたりは知らない人も多かったのではないか?自分としても1985年以来のライブ体験。正直この曲はよく理解できないのだけれど、このライブをキッカケに何度も聴き直しているうちに、この曲は「ジャパネゲエ」に通じる、THE POLICEの影響に和のテイストを加えた挑戦なのでは?と感じ、34年経って初めてその魅力を理解できた気がした。そんなのに気づかせてくれるのもこのライブの大きな魅力か。さらに「Japaneggae」のイントロにまたびっくり!1999年のライブ以来。大好きな曲なのでこれはまた歓喜。こんな曲が楽しめる、またサプライズの連続なんて、こんなライブめったにない。「女神達への情歌」ではイントロの前に、この曲のビーチボーイズ風のコーラスのパートだけをアカペラで歌ってから曲へという展開。この曲なんて1990年のライブ以来だけど、事前にラジオ番組「やさしい夜遊び」の中で何度かこの曲について触れていたし、事前の報道ではこの曲を演奏したと言われていたので、驚きはなかった。ラジオでも話していたが、桑田さんはこの曲本当に好きらしい。このあたりはさしずめ「黒サザンコーナー」という感じか。一部のファンを裏切る構成でもあり、また僕たちのような古いファンにはたまらない構成でもある。

「慕情」は今回最も聞きたかった曲のひとつ。これも「やさしい夜遊び」の生歌コーナーで歌っていたので、ライブでやってくれそうな気がしていた。2013年の「灼熱のマンピー~」でも演奏していたが、あの時はアコースティックコーナーの中で、ちょっとリラックスした感じで演奏されていたので、こんな風にこの曲本来の雰囲気で歌われたのは1992年以来か。個人的には、2017年の「がらくた」ツアーの時の「ほととぎす(杜鵑草)」のようなイメージを持っていて、究極にシンプルなアレンジ、演出を期待していたが、まさにそんな感じだった。「がらくた」ではステージ奥からあたる1本のピンスポットに桑田さんのシルエットが浮かび、広いホールにボーカルが響き渡っていたのがメチャ印象的だったが、今回は天井からのサスペンデッドライトで桑田さんだけを照らすような照明演出が印象的だった。今回最も印象深かった曲のひとつ。

M17 恋はスローにちょっとずつ

ここで再びMC。このあたりかな?と思っていたが、果たして、新曲について。ほんとは新曲をひっさげて、と行きたかったのかもしれないが、間に合わなかったから?ライブの中で新曲を披露して、ツアーの間に熟成させていく、という狙いらしい。タイトルは「恋はスローにちょっとずつ」。曲はミディアムスローなバラードで胸が締め付けられるようなせつない曲。歌詞を聴いてわかったが、恋がスローにちょっとずつ進んでいくのかと思ったら反対で、ちょっとずつ恋が消えていく、フェイドアウトしていくような儚さ、切なさを歌った曲。サザンでこういうラブソングって最近ではめずらしいくらい。発売が待ち遠しい。

M18 行け!力道山

M19 CRY 哀 CRY

M20 HAIR

ここはまた「黒サザンpart II」という感じ。「力道山」も「夜遊び」で触れていたし事前に報道されていたので驚きはなかったが、自分はライブで聴くのは初めて!後半のブラスが鳴りまくるパートは昔大阪のライブハウスで観たウィルソンピケットとかの古いリズム&ブルースのイメージで最高のノリだった。映像では力道山の古い映像が流れていた。そして間髪入れずに「CRY 哀 CRY」へ!これも「夜遊び」でかけていたのでもしや?とは思ったが超うれしい!99年以来の体験。今回こんな風に20年ぶり30年ぶり、または初めて、という曲が本当に多くて、こうした曲をひとつひとつ聴くにつれて、ああこれもサザンの歴史なのだと深く感じ入る。ヒット曲のつるべ打ちみたいなライブもいいけど、こういうどちらかというとマイナーな曲でこれだけ楽しめる40周年ライブって、サザンの懐の深さを知ると同時に、懐かしいというよりも現在に見事によみがえらせるところに凄みを感じる。このパートのラストはまた間髪入れずの「HAIR」これまた有名ではないけどめちゃ好きな曲で、92年以来出し、感動。

さて、まだまだライブは続くけど、いったんここらで区切ります。続きはまた後日。