涙のアベニュー/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

涙のアベニュー/6th シングル

1980.02.02

1980年の春ごろの記憶。当時はまだサザンをしっかり聴いていたわけではなく、洋楽を一生懸命聴いていた自分にとっては、あまたあるくだらない日本のバンドのひとつ。

そのころ耳にした(目にした?)ニュース。サザンオールスターズは半年間テレビ出演をやめてレコーディングに集中する。その間にシングル5枚とアルバム2枚を出す。それまでのサザンに対するイメージは、世間一般とそれほど違わなかった自分はこれを聞いて驚いた。自分が思っていたよりミュージシャンシップがあるというか、まじめに音楽をやろうとしているのだなと感じ、好感をいだいたことを覚えている。ただし、結果的にはシングル5枚は出したが、アルバムは「タイニイバブルス」1枚しか出せなかった。ただこの「レコーディングに集中したい」という声明は当時のサザンの心の叫びだったのだろうし、この間のまたその後の開花ぶりは作品を聴けばすぐわかる。

この曲はその記念すべき最初の作品。リズム&ブルースをベースにしたご機嫌なバラード。じぶんとしては大好きな曲。ちょっと後になるが、1985年、大学卒業前に横浜のBar「スターダスト」に友人Cと行った時、店内のジュークボックスでこの曲を流したが、他の洋楽のオールディーズやR&Bとまったく違和感がなくて、横浜というシチュエーションも相まって感激したのを覚えている。横浜を舞台にした曲はこの後たくさん生まれてくるが、その最初の曲となった。

またライブでは、84~85の「やっぱりアイツはクロだった」ツアーで、♪恋の女のストーリーとのメドレー形式で歌われて、ともにR&Bフレーバーいっぱいの曲なので超感動したことが今でも忘れられない。

「レコーディングに集中する」という意欲的なサザンの姿勢とは裏腹に世の中は冷たいというか、テレビに出なくなったらすぐに忘れられるというか、この曲などはセールス的には不発だったようだ。これからしばらく、ヒット曲という点ではサザンは「冬の時代」に入っていく。