Eric Clapton 102nd Live at BUDOKAN 2023.04.23.mon

Eric Clapton Live at Budokan 20230424

自分にとっては初めての日本武道館。2006年以来17年ぶりのエリック・クラプトン

過去には2001年福岡。初めてのクラプトンのライブに大感激。生Layla、Bellbottom Blues、Change The World、Tears in Heaven・・・このツアーの模様は"One More Car, One More Rider"としてCD化された。

2003年広島。初めてI Shot The Sheriffを聴いてぶっ飛んだ!

2006年大阪。デレク・トラックス参加のツアーで当時は知らなかったが、デュエイン・オールマンの息子ということでこれはデレク&ドミノスの再来か!とあとから感激。デレクのスライドギターによる、空をたゆたうようなLayla後半のギターソロはこの時だけのスペシャルバージョン。このツアーはアメリカではJJケイルも参加して、その模様が昨年になってLive in San Diegoとして発売。

そして今年のツアーは武道館で100回めの公演。これは外国人アーティストでは最多の記念すべき公演。またクラブトンさんも78歳ということで次があるのか?ということで今回は参戦を決断。

 

席はスタンド1階南東席の前から12番目だったか。ななめ上手側からステージを観る感じで、近くはないが、全体が見渡せる。両サイドに大きなスクリーンがあってここでクラプトンのアップ、特にギターを弾く手元のアップなどを映していた。照明はステージ上にまんべんなくあたるような反射板のようなものが設置してあって、スポットライトはなし。

観客の年齢層はかなり幅広くて、けっこう若い人が多いことにびっくり。

開演予定は午後7時だったけど、6時59分にメンバー登場。バンドは、エリック・クラプトン〈G./ Vo.〉クリス・ステイントン〈Key.〉ドイル・ブラムホールII〈G./ Vo.〉ネイザン・イースト〈B.〉ポール・キャラック〈Key. / Vo.〉ソニー・エモリー〈Dr.〉シャロン・ホワイト & ケイティ・キッスーン〈Back Vo.〉。ギターのブラムホール、ベースのイースト、キーボードのステイントンはよく覚えているけど、ドラムはスティーブ・ガッドではなく、はじめての人みたい。途中で気づいたが、ドラムの人が来ていたTシャツには日本語で「侍」のプリントが。もう一人のキーボード、キャラックは初めて見たが、途中で「あ、昔ラジオで聴いたニック・ロウのライブで一緒にやってた人だ」と気づいた。また女性コーラスは自分が行ったクラプトン・ライブでは初めて。この2人のどちらがあの「ケイティ・キスーン」さん、なのだろう?

M1. Blue Rainbow

注目の1曲目は、聞いたことのない、ちょっとブルースっぽいインスト曲。後から知ったがこれは「Blue Rainbow」という新曲で、先日亡くなったジェフ・ベックにささげた曲らしい。初めてながらとてもいい感じで、できたらレコーディングしてほしい。

M2. Pretending

そして聴きなれたイントロ。でもライブで聴くのは初めてのPretending。今回はいきなり「ロックなクラプトン」からスタート。

M3. Key To The Highway

ブルースのスタンダードでクラプトンもたびたび取り上げている曲だけど、個人的には2001年のアコースティックバージョンがインパクトが強くて、今回のエレクトリックバージョンはむしろ新鮮。ずいぶんリラックスしてアーシーなブルースを楽しむことができた。

M4. Hoochie Coochie Man 

出た!ブルース!これはクラプトンさんのライブでは定番ともいえる曲だけど、こんなに早くくるとは。このあたりで確かピアノやキーボード、ギターのソロまわしもあったと思う。

M5. I Shot The Sheriff

イントロの前にクラプトンさんが軽くギターでリズムを刻み始める。もうそれでわかってしまうこの曲。この曲を聴きにきたと言っても過言ではないほどの素晴らしいパフォーマンス。最初の"I shot the sheriff~"というコーラスに女性コーラスが入ってボブ・マーリィのバージョンみたい。でもほかのところでは完全にクラプトンさんの曲にしてしまっているようで、すごいのひと言。後半のギターソロはこの曲特有の長い「キュイーン!」というチョーキングを起点に、静けさからだんだんと盛り上がっていく。この流れは形容のしようがないほどの高揚感をもたらしてくれる。今回もその期待に十分応えてくれる素晴らしい演奏だった。一気にライブはクライマックスへ。気持ちはスタンディングオベーション

M6. Kind Hearted Woman

ここからはアコースティックセット。一転して落ち着いたリラックスした雰囲気に。

そして演奏されたのは、ロバート・ジョンソンの曲でクラプトンさんお気に入りの"Kind Hearted Woman"。こんな風にアコースティックでこの曲を演奏するのも珍しいのではないか?新鮮でこの曲の魅力を再発見したかも?

M7. Nobody Knows You When You're Down And Out.

これもブルースのスタンダード。有名な"Unplugged"をはじめ、最新作(?)のThe lady in the Balconyでも取り上げているクラプトンさんにとってもお気に入りの曲。栄光と挫折を何度も経験してきた彼の精神性の現れた曲なのだろう。でも演奏はリラックスそのもの。

M8. They Call Me The Breeze

「これはJ.J.ケイルに」と言って始まった。J.J.ケイルのトリビュートアルバムで取り上げていた曲で、いかにもJ.J.ケイルらしい、また彼を敬愛するクラプトンさんらしい曲。アコースティックコーナーの流れは一貫してリラックスしているけど、ルーツ・ミュージックへの敬愛が感じられる。このアコースティック・セットは今回のライブの大きなポイントだったのではないか?

M9. Sam Hall

「これはアイルランドのトラディショナル・ソングだ」といって歌い始めた。事前にApple Musicの「予習用プレイリスト」というやつで聴いていたけど、それでもなじみのない曲。でも初めてなのに聴いたことあるような、懐かしい草の香りがするような曲だった。

M10. Tears In Heaven

イントロの1秒でわかる、聴きなれたこの曲。生では久しぶりに聴いた。

いつのまにか、スタンド席のところどころでスマホのライトが見える。最初は「誰だこんな時に・・・」と思ったけど、だんだんとそのライトの数が増えていき・・・「これはペンライトかLEDライトの代わりにしようとしてるのか」と気づいた。観客からの粋な演出、というべきだろうか?ちょっと感動して自分もスマホのライトをつけてゆらゆらと揺らしてみた。ほかのライブでは感じたことのない演出だった。

また、演奏も、それに気づいたのだろう、十分に応えてくれる演奏だった。

M11. Badge

アコースティックセットのインパクトは強烈で、すっかり身をゆだねてリラックス。ここで再びエレクトリックセットに戻って、またも1秒でわかるイントロ。「これを聴くために来た」という1曲。

2コーラス終わったところで、わざとギターの残響をひずませる様子が印象的だった。またこの曲だけではないが、ギターソロがとても調子よく見えたのは自分だけではないはず。

クラプトンの曲の中でも1・2を争うカッコいい曲だ。

M12. Wonderful Tonight

ここはもう定番の連発でいよいよクライマックスの感が。

この曲でもTears~のようなスマホライトの演出が客席から発生。でも自分的には、2度目となるとなんか感激が薄くてここは乗らなかった。この曲最近は、以前の"24Nights"や"One More Car, One More Rider"のバージョンのように後半を長く引っ張らず、シンプルに終わらせるようになっているが、オリジナルに近いシンプルなアレンジもいい。

M13. Crossroads

キター!ここで来た!クラプトンさんの象徴ともいえる曲。ガンガンギターを弾いてくれて、血管切れないかと心配になるほどドスの効いた声でがなり立てる。

実は事前に聴いていた「The Lady In The Balcony」では以前に比べて声の張りとかがないような気がして、「やはり歳なのか?」「あまり期待し過ぎないほうがよいかも?」なんて考えていたけど、そんな心配を吹き飛ばすような健在ぶりをまざまざと見せつけられた。

M14. Little Queen Of Spades

今回のブルースはコレ!クラプトンさんが好んで演奏するロバート・ジョンソンナンバー。正直ブルースになったらどの曲でもそんなに違わない気はするけど、この曲のギターソロとか、気合はかなり凄いように感じる。スタジオ録音もあるけど、こういうブルースはやっぱりライブで聴くに限る。またバンドのソロ回しなどもあって、最高。

M15. Cocaine

出た!誰も文句言えない曲。Laylaと並ぶライブ超定番曲だけど、今回の日本ツアーではどちらかしか演奏しないらしい。この曲をやったということは・・・・・

最後はお約束で、客席の"Cocaine‼"の大合唱で終了。そして・・・・Laylaをやらないままステージを去っていく。

En1. High Time We Went

それほど時間をおかずにアンコールへ。

事前の予習通り演奏した曲はジョーコッカーの"High Time We Went"

だけどなんと歌っているのはクラプトンさんではなく、ポールキャラック!結局クラプトンさんはソロも弾かずに終わった。このアンコールは正直面くらったけど、本編までで十分楽しんだだろ?アンコールはおまけでバンドのみんなの演奏をよく聞けよ、ということなのかな?

最後はちょっとあっけなかったけど、約2時間のステージ。事前の懸念は完全に杞憂に終わり、まだまだIncredibleなクラプトンさんを見せつけられた!

聞くところでは今年の秋にはまた"Crossroad Guitar Festival"を開催するそうだし、まだまだ元気なクラプトンさんを楽しめそうだ。ありがとう。

今回のライブ、日本のじゃなくてもいいけど、ぜひ音源化、映像化してほしい!