♪ダーリン by 桑田佳祐

ダメ男つながりの1曲。

60年代あたりのリズム&ブルースか、昭和歌謡か、どちらかわからない、いやどっちにも聴ける、いやどっちでもいい、という稀有な魅力のある曲。
地味にクリスマスソングの要素もあり、毎年暮れの季節には欠かせない。
♪泣いたのは幸せなお前が見れたから
とか
♪チャイナタウンで酔って朦朧
とか、情けない男のブロークンハートが弾けていて、思わず泣けてしまう。

またこの曲も桑田さんお得意の、横浜の地名がたくさん出てくるご当地ソング

発表された2007年は、「明日晴れるかな」「風の歌を聴かせて」と春から夏にかけてタイプの違う名曲をリリースしたあとで、最初に聴いた当時はそれらに比べると地味な印象を受けたけど、それから年を経るごとに愛着が深まって、今では前2曲と比べても一番聴く頻度が高いんじゃないかと思う。

これから春なので、しばらくこの曲を聴くこともなくなるかも。今のうちにもう1回聴いておこう。

 

Early Morning Rain by Paul Weller

Paul Wellerのカバーアルバム "Studi0 150"に収録。オリジナルはゴードンライトフット。

早朝、雨の中、田舎の空港で一人飛行機が飛び立つのを眺めている男。
恋人とも離ればなれ、金もなく、行くあてもなく、ただ空港で飛行機の明るい行き先(雨も降らず、太陽がいつも輝いている)を想像しながら。
気が滅入ると毒づきながらそこから離れることもできない。

こんなダメ男の歌に胸を締め付けられるほどせつなくなるのはなぜ?

酒が旨い。女なんて・・・
そんな泣き言これがブルースか?

オリジナルのゴードンライトフットのバージョンもポールウェラーアコースティックギターを基本としたシンプルなカントリー調のアレンジ。ゴードンライトフットはいかにもというカントリーフレーバーだけど、イギリス人でしかもパンク出身のポールウェラーがやると軽快なロックに聞こえてしまう。


 

【ネタバレ注意!】佐野元春35周年ライブ@福岡市民会館 2016.01.31(3)

セットリストをまとめてみる。
1.シュガータイム

2.優しい闇

3.ジュジュ

4.ビジターズ

5.Come Shining

6.冒険者たち~Wild Hearts

7.バルセロナの夜

8.すべてうまくはいかなくても

9.ポーラスタア

10.君を探している

11.希望

12.境界線

13.La vita e bella

14.バイ ザ シー

15.紅い月

16.私の太陽

17.東京スカイライン

18.ボヘミアングレープヤード

19.レインボーインマイソウル

20.誰かが君のドアを叩いてる

21.ヤングフォーエバー

22.星の下 路の上

23.世界は慈悲を待っている

24.ジャスミンガール

25.ヤングブラッズ

26.約束の橋

27.SOMEDAY

28.ロックンロールナイト

29.ニューエイジ

30.アンジェリーナ

en.1 31.スターダストキッズ

32.ダウンタウンボーイ

en.2 33.グッドバイからはじめよう

34.国のための準備

35.悲しきレイディオ

 
 

【ネタバレ注意!】佐野元春35周年ライブ@福岡市民会館 2016.01.31(2)

 
 
次の曲のイントロは聴き覚えのないややハードなフレーズ。歌い出してから聴いたことはある。♪ヤングフォーエバー。この曲は2000年代かな?どうやら本気で80年代から2010年代まで、佐野さんのキャリアを網羅するだけのバリエーション、ボリュームでこのライブを歌いつくそうとしているらしい。みんなが知ってる80年代の曲だけでもなく、最近の曲だけでもなく、「俺がやってきたことを全部聞いてくれ」と言わんばかり。

またMCが入る。現在のバンド、コヨーテバンドについて。「次の曲はコヨーテバンドで初めてレコーディングした曲」M22♪星の下 路の上。現在のコヨーテバンドのまさに原点となる要素が詰まった佳曲。無駄のないソリッドなサウンド。昔にくらべてずいぶんわかりやすい、でも心をつかむような言葉。
M23、再びコヨーテバンドの曲、世界は慈悲に満ちている。曲が紹介されると会場の女性ファンの誰かが「キャーーーッ!!」という悲鳴のような歓声を上げる。モータウンのリズムにシャープなギターのカッティング。ある意味、今の佐野元春の音楽的なバックボーンがあってこその、ほかの誰にもなしえない曲かも? 

M24、長いオルガンのイントロ。「みんなこれまでやってきたことをしっかり自分で認めていいんだよ」みたいな趣旨のMCがあった。これは♪約束の橋だ!ここからついにクライマックスか?と思ったら、♪ジャスミンガール!これも大好きな曲だけどたぶんライブでは初めて。オリジナルよりもキーを下げて歌っていたように思う。いったい何曲やるつもりなんだろう?30曲?もしかして35周年だから35曲?まさかね!? そしてこのあと、何の前触れもなく始まったのが、M25♪ヤング・ブラッズのイントロ!前回のライブではやっていなかった(別会場ではやったという情報もあり)ので、今回ぜひ聞きたかった1曲。やはり今回のようなブラスセクションを配した編成のバンドではこの曲ははずせない。自分にとっては昔も今も大切な曲。久しぶりのライブだからか、すごく新鮮に聴けた。ちょっと泣けた。M26♪約束の橋M27♪SOME DAY。この3曲の連ちゃんはやばいでしょう。♪約束の橋は1コーラス目と2コーラス目の間に間奏が入ったりしてちょっと長いバージョン。明らかにクライマックスを意識した構成。またファンも熱狂的に応える。このあたりの、佐野元春の最も濃い世界に対しては客席の反応がホントに熱狂と言っていいくらいにすごい。もちろん自分ももう我を忘れそうなほど。風邪をひいて体調が良くないこととか、もう関係なしといったところ。たぶんこんなライブは今回のようなアニバーサリーライブでなければ体験できないのだろう。
M27♪SOME DAYの余韻覚めやらぬ中、M28♪ロックンロールナイトが始まる。個人的には、80年代当時ブルーススプリングスティーンを意識していた佐野さんのこういう大仰な構成の曲はあまり好きではなかった、もっとシンプルなロックンロールとかポップソングが佐野さんの真骨頂だと思っていた。でも久しぶりに聴いたこの曲は十分楽しめたし、30年以上たって、この曲を少し見直すきっかけにもなった。「がれきの中のゴールデンリング」
♪ロックンロールナイトの穏やかなピアノのエンディングから暗転のまま、一転してM29ニューエイジのテンポのいいイントロ。これも盛り上がった。昔の若いころのライブでも、これほどにノリのいい曲を続けたことはなかったんじゃないか?なんかそういうのはサザンのイメージがあるけど、佐野さんもこの歳になって、昔以上にパワフルになっているイメージ。
そしていよいよ30曲目。この辺になると、明らかに35周年を意識して35曲やろうとしていると確信。「僕は、この曲で、始まった。」というMCに続いて、客席の熱狂的な歓声!そして同行の坐こってぃさんによるとエディ・コクラン風のイントロで始まる、出ましたM30♪アンジェリーナ!これも前回ライブに行ったときにはブラスがなかったので、アンジェリーナらしいアンジェリーナは今回が久しぶり。まあ盛り上がる盛り上がる!「今夜も愛をさがして」
そしてバンドメンバーが全員前へ出てきて挨拶をしてハケていきアンコール。わりと短い休憩で再び登場!
そして佐野さんのブルースハープで始まるアンコール1曲目♪スターダストキッズ!これは前回ライブでも聴いていたけど、やっぱりこの辺の、アルバム「SOMEDAY」「NO DAMAGE」あたりが一番ファンとしても思い入れが濃いのではなかろうか?雰囲気は最高潮。イントロはブルースハープでやったけど、あのメロディはイントロ以外はブラスセクションで演奏。シングルバージョンとアルバムバージョン両方が楽しめる。En.2曲目はダウンタウンボーイ!これはまた泣きそうになった。まさかこの曲が聴けるとは!しかもスターダストキッズとの連ちゃんで、なんか大学時代に戻ったような気分になった。大学時代のあの狭い下宿の部屋を思い出した。「明日からのこともわからないまま知りたくないまま」
2曲演奏してまたステージから去っていくメンバー。そういえば昔からアンコールは2回だったかな?
今度は1回目よりも短いインターバルで登場。でも現れたのは佐野さんとベースだったかな?のメンバーだけ。佐野さんがキーボードの前に座って始まったイントロは、En.3♪グッドバイからはじめよう!前のアンコール、もっといえば本編の終盤から80年代前半の曲を集中させていて、思わず胸をしめつけられる。続いて演奏されたのはなじみのない曲。後から考えたら一応音源としては持ってるけどほとんど聞いたことがない。シンプルでストレートで激しいロックンロール。歌詞もよく聞き取れなかったけど、「~~~準備はできてるかい?」という歌詞で後で調べて♪国のための準備だとわかった。♪グッドバイ~のあとなので雰囲気も一転してよかった。またなじみがないけどすぐに終わる短い曲だったので、あまり気にならず。
さてここまで34曲。アンコールに入ってすでに4曲。おそらくは次で最後の曲。ここでまたMCが入って、昔から変わらないトーク。「僕は昔からテレビよりラジオが好きだ。小学生の頃から学校でいやなことがあったり親にしかられたりしても、ベッドに入ってトランジスタ・ラジオをつけると、ビートルズビーチボーイズ・・・・などのロックンロールが流れてきて、いやなことを忘れさせてくれたんだ。」この話何十年続けてるんだろうと思いながら、僕たちの年代ならほとんどみんな同じような経験をしてるので激しく共感できる話。そして、この曲を最後に持ってきますか?という感じの♪悲しきレイディオ。おととしのライブで久しぶりに聴いて、すっかり改めてはまってしまったというか、変わらぬ魅力は、これぞクラシック・ロック!もちろん「愛する気持ちさえ分け合えれば・・・」というコール&レスポンスありの超ロングバージョン。初心者向けの解説もあり(^-^; 今はライブバージョンのCDもあるので、ほぼそのままの雰囲気をいつでも聴くことができる。「おしゃべりなDJもういいから!」
終わってみれば、35曲、約3時間20分という質・量ともにすごいライブだった。20曲くらいで終わるだろうとタカをくくっていて、佐野さんごめんなさい。選曲も構成も、80年代から90年代2000年代そして現在までしっかりミュージシャン佐野元春の歩みを感じさせてくれる、またそれにシンクロする自分の歩み(途切れてるところも、それはそれで)も意識させてくれる素晴らしいライブだった。
サザンのようにずっと売れていたわけではなくて、恥ずかしいけど自分自身ここ20年くらいは佐野さんのことは忘れていた時期もあったけど、あらためて、昔の親友と久しぶりに出会って、彼が重ねてきた努力、変わったこと、変わらないこと、新しく得たチカラや仲間との絆とかを感じさせてもらったという気がする。何よりも彼が今作っている曲、演奏している曲が素晴らしいことに今また気づかせてもらった。これからも30数年来の友人として、佐野さんとつきあっていきたいと思う。

 

【ネタバレ注意!】佐野元春35周年ライブ@福岡市民会館 2016.01.31(1)

「佐野君」。僕は佐野元春のことをなぜかこう呼びたくなる。サザンの桑田さんは、昔は「桑田」。今は「桑田さん」。この二人は僕よりも6歳上、学年でいうと7学年上の同世代。なのに桑田さんは今は尊敬する先輩みたいな感じ。佐野君は友達っていう感じ。でもしばらくごぶさたしていたのでやっぱり「佐野さん」かな?

 

 

 

佐野さんのライブはおととし2014年11月の広島以来。あの時は会場も小さなライブハウスでわりと小規模なライブだったけど、今回は事前情報によるとデビュー35周年記念ライブということで、現在のコヨーテバンドだけでなく、80年代の「Heartland」、90年代の「HoBo king Band」のメンバーも一部参加しての豪華メンバーらしい。しかも初めて知ったが、「Hobo King Band」のサキソフォン山本拓夫とトランペット・西村こうじはサザンのライブでもおなじみのホーンセクション。彼らを含めて今回はCoyote Grand Rockestra」というスペシャルな編成。

 

会場の福岡市民会館は初めて行ったけど、周南市文化会館とほぼ同じか、少し大きいキャパだろうか。席は前から21列めの左寄り。真ん中よりやや後ろ寄りか。開演前はスティーリーダンのクールな演奏が流れていた。ファン層は僕たち前後からやや若い40代くらいか。サザンだともっと若い人たちもいるけどそこまで幅広くない。

 

開演予定時間午後5時を10分くらい過ぎたか、スティーリーダンがフェイドアウトして照明が落ち、ナレーションで“Please welcome! Motoharu Sano & Coyote Grand Rockestra!”というMCが流れて会場は早くも総立ち。ここで緞帳が上がって、始まった曲は驚きの♪シュガータイム!いっぺんに時計は80年代へ戻ったよう。客席は早くも大盛り上がり!自分もそうだけど、この曲を聴くのも久しぶりという人も多かったと思うけど、一瞬で引き込まれるインパクトがこの曲にはある。

2曲目に最新アルバムの中の重要な1曲♪優しい闇。3曲目に「ナポレオンフィッシュ」から♪ジュジュ。ここまでMCはなし。ファンは本当に佐野さんに会いたかったという感じの熱い拍手と歓声を1曲ごとに送る。みんなこの日を楽しみに待っていたんだろう。

 

3曲終わって短いMCが入り、「80年代の曲を」と言って4曲目♪ビジターズ。5曲目♪カム・シャイニング。前回のライブではコヨーテバンドだけでホーンセクションとかなかったので、今回のバンド編成は昔の曲に関して特に力強くてカッコいい。

6曲目の前にも短いMCで80年代の曲♪冒険者たち~Wild Hearts。この曲なんかはホーンがないと成り立たない。発表当時はスタイルカウンシルの“My Everchanging Moods”のパクリじゃないかと疑ったことも懐かしい。

7曲目の前にノリノリの客席を座らせて、キーボードの前に座って演奏し始めたのがバルセロナの夜。これは正直最初はわからなかったし、いったい何十年ぶりに聴いただろう!?今聴くとなんだかビリージョエルの♪素顔のままでに雰囲気が似てるなぁ。佐野さんは正直声の調子があまりよくないようで、少しかすれたり音程が外れたりする部分もあったけど、手を抜かずに懸命に歌っているのはよく伝わってくる。客席も、特にこういう古い曲には強い思い入れがある人が多いのだろう、客席の「気」が充満しているのがわかるような気がした。続いては♪すべてうまくはいかなくても。これは初めて聴いた曲。90年代の「フルーツ」というアルバムらしい。

 

続いてはおなじみのベースラインで、今の佐野元春&コヨーテバンドを象徴するクールでソリッドなサウンドがメチャカッコいい1曲♪ポーラスタア。この曲を収録した「ZOOEY」というアルバムは名盤!ここでまた総立ちに。

次が10曲目。「今回のライブはできるだけレコーディングしたままのアレンジで演奏しているけど、この曲だけは違うアレンジで聴いてほしい」と話して演奏した♪君をさがしている。このへんも初期の佐野元春を象徴するような、昔のブルーススプリングスティーンを彷彿させるような曲だけど、このアレンジの変化はどういう心境か不明。

おととし行ったライブは全19曲だったし、昔80年代によく行ってた頃もそのくらいだったので、そろそろ後半か、というところ。11曲目はまた客を座らせてキーボードを演奏しながらの♪希望。90年代のホーボーキングバンドのアルバム“The Sun”の曲。このアルバムは以前レンタルで聴いてiPodにも入ってるけどあまり印象がなかった。でも改めて聴いてみるといい曲だ。聴き逃してたけど、佐野さん、ずっと頑張ってたんだな。

 

ここからは新しい曲が続く。

12曲目♪境界線。最新アルバム“Blood Moon”からで、僕が一番好きな曲。この曲のフレーズ「知っていることのすべて、夢見る力のすべてを使って明日境界線を越えていこう」は防府読売マラソンの前、サブスリーという境界線を目の前にした自分にとって大切な曲になった。今回もっとも聴きたかった曲の一つなのでノリノリ!めずらしくサビで腕を横に振るという「フリ」つきがちょっとおかしくて照れ臭かった。

13曲目は♪La Vita e Bella。これは最近の佐野さんの曲で一番好きな曲。もとはと言えば桑田さん大推薦の曲。新しいバンドと新境地を開いた佐野さんの超名曲。最高♪

「この先へもっと」

14曲目♪バイ・ザ・シー、15曲目♪紅い月、16曲目♪私の太陽と最新の曲が続く。会場も相変わらずノッていて、昔の曲だけ聴きに来てるわけじゃないのがよくわかる。

少し曲数が気になり始めた。全部で多くても20曲くらいだと思っていたので、そろそろ終盤に向かうかと思いきやそんな様子はない。あれ・・ってちょっと思い始めた。

17曲目の前にMCで、「去年の夏はいろんなことがあった。いろんな思いをこめてこの曲を」みたいなことを話して歌ったのが♪東京スカイライン。何を意味しているのか正直よくわからなかった。時々政治的なことも取り上げる佐野さんなので、安保法制とかでこの国が変わりつつあることを指しているのか?いずれにしてもこれも近年の佐野さんのバラードの中では白眉ともいえる名曲。

この曲が終わり、会場は暗転のまま、次のイントロが。これは92年“Sweet 16”に入っているボヘミアングレイプヤード。有名な曲ではないのに、おととしのライブで凄く盛り上がってびっくりし、それ以来好きになった曲。今回も良かった。サビのメロディ、間奏のスキャットがやたらノリノリ、盛り上がる。またMCで続いて“Sweet 16”アルバムから。♪レインボー・イン・マイ・ソウル。これはまた92年当時の自分の心を映すような詩で(こういう曲が佐野さんの場合多い。佐野さんが好きな人はみんなそうだと思うけど)胸をぎゅっと締めつけられる。この曲なんかはまさか聴けると思っていなかったので、ノルというより何だかしんみり聴き入ってしまった。

“There's a rainbow in my soul.”というフレーズで自分の胸を叩くポーズ。健在。

次がどうやら20曲目。またもや“Sweet 16”の曲で、♪誰かが君のドアを叩いてる!これはまた大好きな曲で、たぶんライブでは初めてではないか?これも聴けると思っていなかった!

「壊れた夢にせつなく抱かれて」

 

大好きなアルバム、大好きな曲が続いてすっかり引き込まれてしまった。もう想定していた20曲を過ぎてしまう。この調子じゃ30曲はいきそうだ?まじで?

(続く)

 
 

【ネタバレ注意!】サザンオールスターズ Live Tour 2015「おいしい葡萄の旅」(3)

 ここからが今回のライブの佳境。と書きましたが、今思えばサザンのライブもたくさん行ったけどこの種の感動はこれまでなかったのでは?と思わせるほど感動的なパートでした。
 
M25 道
M26 栄光の男
M27 東京VICTORY
M29 エロティカセブン
M30 ボディスペシャルII
M31 マンピーのG☆スポット
 
  前のマニアックコーナーから打って変わってバラードの♪道。この曲「葡萄」の中でも、いやすべてのサザンの曲の中でも異彩を放つ名曲だと思っています。個人的には桑田佳祐の『ジョンの魂』」と呼んでいます。つってもなかなかわからないでしょうが。つまりこれほど赤裸々な桑田佳祐の歌はない、と思っています。斎藤誠アコースティックギターに、ステージ中央に腰掛けた桑田さんのボーカル。ムクちゃんが桑田さんをちょっと慰めてるような仕草。オレンジ色のなんとなく寂しげな照明。ちょっと芝居のような感じで切々と歌い上げます。バックの映像はなく、音と照明だけのシンプルな演出が余計にこの曲の凄みを引き立てます。曲の後半で雷のSEが入るところだけ背景にイナズマの映像が入ります。もう、いっぺんにまたライブの雰囲気を変えてしまいました。
 続いては♪栄光の男。これまた客を一気に引き込む曲です。この曲を演奏するのが大好きだと、桑田さんもどこかで書いていましたが、僕たちもこの曲を聴くのが大好きです。ライブで聴くとすごい一体感というか「桑田さんとつながっている」「桑田さんは俺たちのことをわかってくれてる」という感触を抱くことができます。そういう意味ではサザンでナンバーワンかもしれません。またこの曲はライブのどのパートでも演奏できる、オーディエンスを感動させられる曲として珍しいと言えるかもしれません。
 そしてそして、続いたのは♪東京VICTORY!イントロと中盤のスタジアムコーラス(っていうのか?)は桑田さんの♪Everbodyという呼びかけに合わせて追いかけるパートをみんなで歌います。そしてこのイントロで、腕につけたLEDのリストバンドが一斉に白い光を放ち、オーディエンスは皆その手を高く突き上げます。この1年世界で一番好きな曲だし、今回一番聴きたかった曲なので、もう思う存分リズムに身をゆだねました。サビでは桑田さんもジョギングしながら歌っているので、僕もその場ジョギング。これが楽しい~!ラストの「TOKIO, the world is ONE!
」という歌詞は
「HIROSHIMA, the world is ONE!」に変更されていました。

 ここまで、魂を直接わしづかみにして揺り動かすような曲が続き、例えられない高揚感が身を包みます。この♪道→♪栄光の男→♪東京VICTORYの流れは、新しい勝ちパターンというか、「サザンの魂~Spirit」を見つけたという気がします。

 続いてはアロエ。来た来た!ここからはもう後半の大盛り上がりコーナー!サビのちょっとおかしな振り付けもなかなかうまくできないけど、そういうのも含めてすべて身を委ねるように楽しみました。
 ♪マチルダBabyあたりになるともう身体が勝手に反応してる感じで、楽しくて仕方がない。この曲でおなじみの爆発や炎などの特効もよく効いています。
 ♪エロティカセブンは、このツアーのことを紹介したテレビで放映されていたらしいのでどこかでやると思っていましたが、ここできました。先ほどの流れはサザンの新しい勝ちパターンと書きましたが、このあたりは従来の勝ちパターンで、もう新鮮味はありませんが安心して委ねていられます。
 ♪ボディスペシャルIIは年越しライブでやってましたが、僕がライブで聴くのは2008年の30周年記念&活動休止ライブ(横浜)以来。なんだかあの日と、もっともっと昔の、この曲が出た当時のことを思い出しながらおなじみのリズムを感じていました。「1・2・3!」とか「Oh YEAH!!」というシャウトは「偉大なる予定調和」というか、ズルいと感じるほどにすべてを持っていく勝ちパターンです。
 そして、この流れで♪マンピー~を持ってくるのは反則でしょ!とツッコミたくなる展開(^-^; 個人的には♪みんなのうたか♪シンドバッドあたりを期待していました。でももうこの曲はサザンのライブでの本編ラストの位置を完全に独り占めしてるようです。もうlこのあたりはなんとなく意識も朦朧としてよく覚えていません。今回のマンPヅラってあったっけ?いずれにしてもノリと盛り上がりはこれ以上ない、というくらいでした。
 ♪マンピー~のエンディングとアンコールへの入りはなにかひと芝居あったように思いますが、よく思い出せません(^-^;;

 アンコールでは客席はみんな疲れきったようすでぐったりと座り込んでいます。まあそりゃそうだよなぁ・・・。一度だけ?ウェーブが回ってきましたが、反応できた人もやや少なかったような?途中でダンサーのイクミちゃん(すっかりファンの間では有名になりましたね)と男性ダンサーの芝居があって、再びメンバー登場!

Encore
En.3 約束~みんなのうた
En.4 蛍
 
 アンコール1曲めは♪C調言葉~! これもサプライズというか、この曲をライブでフルで演奏するのはいつぶりかわかりませんが、かなり古いのでは?自分としては90年の「夢で逢いまSHOW」でメドレーで聞いたのはありましたが、それ以前となるともしかして80年くらいか?この曲が一番好きだといった友人もいますが、それもうなずかせる普遍的な魅力を持った曲です。シンプルな照明だけで、背景映像はなし。このあたりは明らかに昔のライブに近い手作り演出を意識したものと思います。
 ピースとハイライトがまだだなぁとは思っていましたが、ここで来るとは!この曲は年越しライブであーだこーだ言われてますが、紅白でこの曲が演奏された時点でサザンを代表する名曲のひとつになったことは間違いありません。「希望の苗を植えていこうよ」という一節は桑田さんが作った歌詞の中でももっとも美しいもののひとつだと思っています。最近になって気づきましたが、ホントは「ピースとホープ」というタイトルにしたかったのではないでしょうか?どちらもタバコの商品名ですが、これじゃ「平和と希望」でベタすぎるので「ホープ」ではなく「ハイライト」という自分が以前吸っていたタバコの名前に変えたのは照れ隠しか?
 このあと「あの日から何度目の夏が来ただろう~?」という♪約束のフレーズを聴いてこのあとの展開を悟りました!「みんなのうた」まで続くことがわかり、自分としてはもう年甲斐もなく狂気乱舞といった様相(^-^;; ♪約束は新しい歌詞とメロディが追加されてより美しく印象的なものになっていました。この曲もいつかレコーディングされるのか?期待したいです。みんなのうたはもう自分としては言葉はありません。88年の夏に愛媛の野外ライブで初めて生で聴いて以来、サザンの曲の中で一番好きな曲のひとつです。サビで片手を左右に大きく振るあのノリを今回も桑田さんや会場全体で一緒にできて本当に幸せでした。これほど楽しい経験はほとんど稀有なことです。
 そしていよいよラストソング。今回は♪蛍しかないと思っていたのでここは至極当然のように落ち着いて聴き入りました。茅ヶ崎を思い出しながら。LEDのリストバンドの演出は茅ヶ崎で初めて体験し、あの時の一瞬にして会場全体に緑の蛍の光が散りばめられたみたいな光景が忘れられません。名曲。平和の祈りを。

 全ての曲が終わり、メンバー、サポートメンバー、ダンサーの紹介が終わり、2013年の復活ライブで始まったエンディングのミュージカルの演出がありました。もう自分としては放心状態で何がなんだか・・・
 最後にビッグサプライズ!何と桑田さんが「会場全体で記念撮影!」とか言い出しました。ステージ奥の方からステージ上のメンバー、そして客席全体を含む広角レンズでパシャパシャパシャ!フェイスブックツイッターでどんどん拡散を、という演出&凄いプロモーション。
 そして会場に名残を惜しむように最後までステージで客席に手を振り続けながら桑田さんが退場してライブが終わりました。夢の時間から現(うつつ)に戻る瞬間。終わってみれば36曲。3時間30分~40分というこれまでで最長かも(?)というボリュームのライブでした。でも冗長な感じは全くなく、何と濃密な時間であったことか!でも周りを見てると、ファンの方の体力的にこれが限界か(^-^;??

 最近のサザンのライブではいつも生きる活力をもらいます。特に今回「元気をもらった」というような表現では物足りない、「これから生きていく魂をもらった」とでも言いたいくらいのライブでした。どのパートだったか、スクリーンに映し出された「このおいしい葡萄の旅がみんなにとってはっぴいえんどでありますように」みたいなメッセージが心に染み入ります。

 このライブのことを思い出すたびに、心に染み渡るような感動とポジティブにキリッとした気持ちが湧いてきます。いつまでもこの気持ちを忘れずにいられますように。
 
 最後にセットリストのまとめ~どこかのサイトから持ってきたものではありません。すべて僕の記憶に刻んだものです。

M01 Tarako
M02 ミス・ブランニュー・デイ
M03 ロックンロール・スーパーマン
M04 青春番外地
M05 イヤなことだらけの世の中で
M06 バラ色の人生
M07 Missing Persons
M08 平和の鐘が鳴る
M09 彼氏になりたくて
M10 はっぴいえんど
M11 黄昏のビギン~天井桟敷の怪人
M12 ワイングラスに消えた恋
MC メンバー紹介
M13 よどみ萎え枯れて舞え
M14 顔
M15 Happy Birthday
M16 死体置き場でロマンスを
M17 Computer Children
M19 あなただけを~Summer Heartbreak
MC
M21 おいしいね傑作物語
M22 Soul Bomber~21世紀の精神爆破魔
M23 (The Return of)01 Messenger~電子狂の詩
M24 ブリブリボーダーライン
M25 道
M26 栄光の男
M27 東京VICTORY
M29 エロティカセブン
M30 ボディスペシャルII
M31 マンピーのG☆スポット
Encore
En.3 約束~みんなのうた
En.4 蛍
 

【ネタバレ注意!】サザンオールスターズ Live Tour 2015「おいしい葡萄の旅」(2)

M13 よどみ萎え枯れて舞え
M14 顔
M15 Happy Birthday
M16 死体置き場でロマンスを
M17 Computer Children
M19 あなただけを~Summer Heartbreak


 懐かしい曲のコーナーといえば、たとえば♪海とか栞のテーマとかをやるのかと思ったらいきなり♪よどみ萎え、枯れて舞え。自分としてはこれもおそらく84年の♪人気者で行こうのツアー「やっぱりアイツはクロだった!」以来で超うれしかったけど、さすがに知らない人も多かったのでは?♪You and me, I love you あたりの手拍子のタイミングとか結構難しいし。
 続いてはKAMAKURAアルバムから立てづづけに4曲。しかも定番どころはあえて外してるし・・・(^-^;; ♪顔は確か2008年の30周年&活動休止ライブのメドレーでやってたけど、他は生で聴くのは超久しぶり。特に♪Happy Birthdayなんかは懐かしさのあまりポカンとなってしまいました。♪死体置き場でロマンスを♪Computer Childrenは年越しライブでやってたのをライブビューイングで見たのでそれほど久しぶり感はなかったけど、♪死体置き場~などは大好きな1曲なのでノリノリになれました。
 このあと2003年のシングル♪涙の海で抱かれたいのカップリング曲♪Oh! Fresh!~ドグダミスパークのテーマが生演奏ではなくCD音源で流れて、それに合わせた夏っぽい映像が。そういえばライブ開演前にこの曲が何度か流れてて、「めずらしいな」と思ったけど、ここの伏線だったのか、と納得したのでした。この曲と映像の雰囲気から、次はきっと♪天国オンザビーチに違いない!と予想したけど、続いたのはなんと栞のテーマ。考えてみるとこの曲をライブで聴くのも、10年前の広島&福岡以来。感無量でした。最後のサビは省略したショートバージョンでした。懐かしい曲コーナー前半はマニアックに、ここからは夏の定番曲が続きます。
 ♪あなただけを~Summer Heartbreakは桑田さん個人的には自分の曲Best5に入ると以前言ってたのを読んだことがありますが、ライブで聴くのは初めて。めったにライブではやりません。驚くと同時にこの機会を逃してはならん!と一生懸命聴き入りました。「誰かが落とした麦わら帽子が波にさらわれて夏が終わる」のところとか、サビの前の高い音のパートとか、懸命に声を出そうとする桑田さんの歌をしっかり脳裏に焼き付けました。この曲は良かった~。幸せ。
 そしていつもおもむろに始まる聴き慣れたイントロ。 ♪真夏の果実。ここで盛り上がりはひとつのピークを迎えたようです。桑田さんはステージ上を下手~上手へとゆっくりと歩きながら歌っていました。僕は、そんな桑田さんの様子を見ながら、なんとなく茅ヶ崎ライブのことを思い出していました。あの時もこんな風に動きながら、熱唱というよりややリラックスして歌っていたなぁと。

 ここでまたMC。「ここまでで20曲になりました。」
 事前に今回は36曲という情報を得ていなければ、ここからもう♪東京VICTORYか♪アロエで後半の大盛り上がりコーナーへ突入!と思ったでしょうが、まだあと何曲かはありそうです。ここで、「こんな曲やってもお客さんは喜ばないかなと思うけど、自分たちが楽しいのでやらせてください」って、どんな曲やるんだ?と思ったら・・・

M21 おいしいね傑作物語
M22 Soul Bomber~21世紀の精神爆破魔
M23 (The Return of)01 Messenger~電子狂の詩
M24 ブリブリボーダーライン


 ♪おいしいね傑作物語 はこれまた超サプライズ!88年の「大復活祭」以来でしょう。今回のツアーが「おいしい葡萄の旅」だからこの曲を選曲したのかどうか、は不明。
 Soul Bomber~21世紀の精神爆破魔 も久しぶりだけど、楽しめました。これは99年のライブ以来。こういうハードロック系の曲ってバンドとしてはやってて楽しいのかな?
  (The Return of)01 Messenger~電子狂の詩 桑田さんのラジオでツアー直前にこの曲がかかったので今回やるんだなとは思っていたけどここで来ましたか。この曲が入っている98年の「さくら」は僕が一番好きなアルバムのひとつで、サザンがまた攻めてるというか、新しい可能性を探っているようですごいエネルギーを感じるアルバムです。今ほどインターネットやITが日常でない時代で、その辺を歌った曲ですが、ハードロックとコンピューター技術を融合させたような曲調がちょっと古い感じもするかと思ったけど逆に新鮮で楽しめました。心なしか、このパートは桑田さん達も楽しそうに見えました。
  ブリブリボーダーライン これもサプライズでした。92年の世に万葉の花が咲くなりに入っていて当時よくライブで演奏していましたが、正直あまり好きな部類の曲ではありませんでした。でも今回は久しぶりで懐かしかったからか、楽しめました。当時桑田さんと一緒に仕事をしていた小林武史がこのアルバムで印象に残っている曲としてこの曲を挙げていたのを思い出します。サビで会場全体で両手を左右に振るノリはお約束。

 やはりちょっとマニアック過ぎたのか、会場もそれほどノリノリという感じではありませんでした。ここまででもう24曲。大抵のライブならもう終わっていてもおかしくないくらいですが、この日のライブはここからが佳境でした。ここまでマニアックな曲を並べてややハードに攻めて、ここからまた雰囲気が一転しました。

続く→→→→