葡萄/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー
葡萄
2015.03.31 桑田佳祐59歳
15枚目のアルバム
前作「キラーストリート」からは10年ぶり。時間もたくさん過ぎたけど、それだけでなくいろんなことがこの間にはあった。サザンの無期限活動休止宣言、雨と涙の「夏の大感謝祭@日産スタジアム」、桑田さんの食道がん発症と手術・闘病、そして見事な復活、東日本大震災、桑田さん復活の宮城ライブ、桑田さんのソロ名作「MUSICMAN」やソロベスト盤「I LOVE YOU ~now & forever~」のリリースと全国ツアー、そしてサザン復活、全国スタジアムツアー「灼熱のマンピー!」。茅ヶ崎ライブ。そんな時間といろんな出来事を経て、またここにサザンのニューアルバムが届けられた。というだけでもうファンとしては感無量。ありがとうございます。生きてて良かった、という感慨。
またこのアルバムに入っている楽曲群は、いっそう深みを増した、成熟した音楽たち。ポップ・ミュージックは常に時代を映しだし、そこに生きる人々の姿や心を歌い上げるものであるなら、ここにはまさに今の日本が歌われているといっていいだろう。ここで歌われているのは平和への願い、命、ふるさと、国際情勢など、以前のサザンでは考えられないほどそのテーマは多岐にわたっている。音楽性もディスコ、ハードロック、いかにもサザンというポップ・ロック、ソウルフルなバラード、ラテン、フルオーケストラを起用したバラードなどなど、簡単には語りつくせないほどの幅広さ。最近マスメディアなどでは、サザンのことを「国民的ロックバンド」というよくわからない表現で呼ばれることが多いが、今の日本や日本人を見つめて寄り添っている視点がそのような呼び方になっているのだろうか。
そういう意味では、これがサザン37年の一つの到達点、と言えるアルバム。