人気者で行こう/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

人気者でいこう

7枚目のアルバム 1984.07.07

「綺麗」からは時代に歩調を合わせた新しい音楽に挑戦を始め、それをさらに発展させつつもずっとリスペクトして来たブラックミュージックにも改めてアプローチし、それらが見事に結実した名盤。ジャケットはへのへのもへじが書かれた黒人の背中というインパクトの強いものだが、それもブラックミュージックへの強いこだわりなのかもしれないと思わせるほど。

ファンク、バラード、ジャズ、ブルース、ラテン、リズム&ブルースと、そのアプローチはそれまでにないほど多彩。一方でテクノロジーを使った当時先端の音作りにも積極的で、新しいサザンの魅力を次々と見せている。たいがいアルバムの中に数曲は、あまり好きじゃない曲、忘れてしまいそうな曲などがあるものだけど、このアルバムというかこの時期のサザンにはそんな曲が1曲もない。全部の曲が、それぞれに特徴があっていい。

名曲が多くて、革新的な「ミスブランニューデイ」、屈指のバラード「海」、桑田風リズム&ブルース「夕方HOLD ON ME」など現在でもライブで、しかも重要なところで演奏される曲が多い。このアルバムと次作「KAMAKURA」がサザンのひとつの頂点と見ていいのではないか?一般的には「KAMAKURA」の物量や濃厚さをもってサザンの最高傑作とする向きも多いが、個人的には「人気者で行こう」の方を推したい。

このアルバムまでは、毎年7月に必ずといっていいほどアルバムを出していた。個人的にも当時の夏の思い出がたっぷりつまっている。この翌年から、アルバムがでる時期もかならずしも夏とは限らなくなってきた。