CRY 哀 CRY/サザン40周年記念勝手に全曲レビュー

CRY 哀 CRY

シングル「PARADISE」カップリング

これはまたRADIOHEAD。というかこれが一番RADIOHEADっぽいと個人的には思う。RADIOHEADもひとところに留まっていないバンドだが、ちょうど97年発表の名盤「OK Computer」の頃の。コンピューターのサンプリング音の無機質さと生楽器のエモーションをうまく同期させた音作り、静と動がダイナミックに展開する曲の構成など、当時のRADIOHEADの特徴をよく捉えている。

ただ、インスパイアされながらも必ずそこに異質なものを入れて化学反応を試してみるのが桑田さん。この曲では歌詞を「和」の要素で構成し、日本的な情念みたいなものを表現することに成功している。およそ薄学な自分には聴いただけでは意味もわからないような言葉が並ぶが、ちゃんと歌詞を読んでみると、まるで和歌の様な情緒的で美しい言葉が並び、この曲は失われた恋に身を焦がす激しい恋の歌であることがわかる。

このようなチャレンジがこの頃のサザンにはあった。この曲が収録されているアルバム「さくら」はそんな意欲的な作品であり、その象徴がこの曲だと思う。

ライブでは、自分は99年の「セオーノ・ルーハ・ナ・キテス~素敵な春の逢瀬」でしか聴いたことがないが、いつかまた聴いてみたい。ライブで聴くと今なら打ち震えるような感動を覚えるのではないか。