サザンオールスターズほぼほぼ年越しライブ「Keep Smilin’ 〜皆さんお疲れさまでした!嵐を呼ぶマンピー!」レビュー

半年ぶりの横浜アリーナ配信ライブ。あの感動的なライブを経て、2回目があるとは正直思っていなかったけどこうしてまた年越しをサザンと迎えられることを感謝。

オープニングではメンバー5人のコントがあってまずビックリ。そしてライブ画面に変わって、1曲目。何らか現在の状況を反映した選曲になるだろうと予想はしてみるものの、今の状況をどう捉えるのか?よくわからなくて予想も捗らず。

そしてその1曲目はなんと「ふたりだけのパーティ」!イントロから桑田さんのスライドギターがまさに炸裂!自分がサザンを真剣に聴くようになったきっかけとなった曲の一つだし、実はまだライブでは聴いたことがなくて大感動。大人数の宴会・会食が憚られる現状を反映したものだと思うが、それにしても「ふたりだけのパーティ」とは、なんかセンス良すぎる!

2曲目は間髪いれずに「My Foreplay Music」!これはびっくり、というかよくあるパターンではあるけどもこの曲やっぱり最高!こんなにかっこいいギターリフはない!これも自分としてはサザン原体験といえる曲だしいまだにこの曲を定期的にライブでやってくれることに大感謝!ちなみに1曲目2曲目はちょっと途中をはしょったショートカットバージョン。

そしていつも重要な3曲目。ステージ上空に大きな地球儀が表れて、そのさらに上にミラーボールが。アッ!と思ったら「Oh~Oh~」というスタジアムコーラス。ここでキター「東京VICTORY」!ステージ背景のスクリーンには錦織圭選手などオリンピックでの活躍が期待されるアスリートの映像が映し出される。明らかにこの曲はオリンピックに象徴される2021年の世界の復活を意識している。エンディングでは「皆さん良い年を迎えましょう」という風に歌詞を変えていた。

最近のライブでは最初の3曲は抑えめだったり盛り上がったり変幻自在の構成だけど、今日は明らかに大盛り上がり。

ここでMC。最初に医療従事者やエッセンシャルワーカーの皆さんへの感謝の言葉を。ちょっとしたギャグも交えながら(ただ無観客なのでまったく反応がなくやりにくそう)次の曲へ。

次は何かな?と思ったら「いとしのフィート」。この曲は歌詞に「お正月」とか出てくる年越しライブでの定番曲。斎藤誠さんのギターがいつになくファンキー。

そして次はなんと「恋するマンスリーデイ」。この曲ライブでやるのは何年ぶりなんだろう!?これよく考えてみると何週間か前の「やさしい夜遊び」の「ほぼほぼ年越しライブでやってほしい曲リクエスト」という特集でリクエストされてかかっていた。どうやらこのリクエストに応えた選曲か?これはまた小憎らしい演出。また演奏も素晴らしかった。番組では「このころはメンバー全員ボブ・マーリィばかり聴いてた」と話していたけど、ほんとにボブ・マーリィの曲みたい。

6曲目。「あっという間の夢のTonight」。これまたサプライズ!前回の配信ライブではなんとなくサザンらしいというかメジャーな曲のオンパレードという感じだったけど、今回はちょっとニッチなところを攻めてきてる。トロピカルな夏のイメージだけどこの曲も最高。

次もまたサプライズ。「君だけに夢をもう一度」。1992年の「歌う日本シリーズ」以来か?これもあまり注目されないけど実は名曲。以前この曲のことを「筒美京平さんの影響」と語っていたような気がするけど、昨年亡くなった筒美氏へのオマージュなのか?久しぶりに聴いたけど、2020年バージョンのこの曲は成熟した素晴らしい曲だった。しかし、なんかここまでこのライブ、どうも自分のツボにはまる曲ばかりのような気がしてきた。もうノリノリ♪

さらにまたサプライズは続く!「夜風のオン・ザ・ビーチ。もしこれがリアルなライブだったらどれだけ熱狂しただろう!?レイ・チャールズの影響が強く感じられるブルージーでソウル・フィーリングたっぷりの曲。照明の効果も絶妙で1曲ごとに多彩に表情を変える素晴らしいライブだ。

そろそろ盛り上がる曲がくるのでは?という予想をまた裏切って、M9は「Lonely Woman」。さっきは夏の曲だったけど、今度はこの季節ドンピシャのミドルテンポのバラッド。個人的にはダリルホール&ジョンオーツみたいなブルーアイドソウル(古い!)のテイストを強く感じて、歌詞の世界観もやさしさがただよっていて大好きな曲「新しい恋をプレゼント」とか「さよならの代わりにメリークリスマス」とか、ロマンティックなサザンのウィンターソングの代表曲と言っていい。

そして10曲目。なんと「YaYa~あの時代(とき)を忘れない」のイントロにびっくり(涙)。誰もが認める名曲だけど、ライブではあまり演奏されない。でも演奏される時にはいつもすごく重要なところで演奏される。例えば2008年活動休止ライブの最終曲。そして5年後の復活ライブでのオープニング曲。今回ここにこの曲をもってきた意味合いは映し出された映像で明らかに。なんと、ちょっと前までは当たり前の光景だった、たくさんのファンが盛り上がりひとつになるライブの映像。またあの時が戻ってきますように!という強い願いを込めての演奏になった。これにはちょっと落涙。感動。

続いては、また各メンバーのソロまわしを含めたメンバー紹介。

そして「次の曲なんだっけ?ヒロシ」「え?オレ?」「なんだっけ原坊?」「え?オレ?」みたいなやりとりから次の曲は・・・

「愛は花のように~Ole」。というオチ(*^^)v しかしこれもめったにライブではやらない曲。いつかの年越しで観たような気がするけど、自分では聴いたことないような。これも最高。

さらに、次の曲はなんと!ってこんなのばっかりだけど、次は今回の最大のサプライズ曲だったかも。「走れ!トーキョータウン!」。って知らない人も多いんじゃないかと思うけど、「匂艶(にじいろ)The Night Club」のB面でアルバムには入ってない(幻の「すいか」だけか?)。ライブでは1982年当時のライブで聴いたことがあるくらい。てことは38年ぶり?_でも今聴くと当時最先端だったYMOの影響がもろに感じられて新鮮♪あらためて聴くとめちゃ楽しめることを発見。ちなみにこの2曲も「夜遊び」でかかっていたと思う。

ここはマニアックな曲を集めたコーナーで次の曲はRadioheadの影響が強い「世界の屋根を撃つ雨のリズム」。ちょっと難解な曲だけど、97年当時のチャレンジし続ける桑田さん~サザンの姿勢がよくわかる。個人的には当分この曲の良さは正直わからなかったけど、今となっては名曲と言ってもいいのではないかと感じている。この曲が98年の名盤「さくら」に結実している。

ここからはライブの雰囲気が一転。スクリーンに国立競技場が映し出され一瞬「SMILE~晴れ渡る空のように」かと期待させたが、さすがにそれはなくて、イントロは「栄光の男」。これもオリンピックを意識した選曲か。この曲も1曲でライブの雰囲気を変えてしまう魅力を持っている。また2013年の発表以来、ライブでは必ず演奏されている曲で今のサザンの中でも最も重要な曲のひとつだと思っているのでまたここで聴くことができてすごく嬉しい。前の曲はRadioheadだと書いたが、この曲のイントロはColdplayみたいだと常々思っていて、そんなつながりが面白く感じた。それにしてもこの曲はこの時代、我々の年代にぴったりの名曲だ。名曲とはそういうものなのかもしれないが、まさに自分のことを歌ってるみたい。

次はなんとなく予想できたのだけど、はっぴいえんど。ここまでで14曲。おそらくこのライブは22~24曲くらいだと思うので、そろそろ後半の盛り上がりへどう持っていくか、が問題。いつもならスローバラードから、というのが定番だけど、2019年のツアーではこの曲がその役割を果たしていた。2015年のツアーでは「栄光の男」がそうだった。そこでなんとなく「栄光の男」~「はっぴいえんど」という流れが浮かんだ。それにしてもこの曲は、比較的新しい曲だけどもうすっかりライブの定番になって、というよりなくてはならない曲になった。いつもながら2番のサビのラスト「歌うことしかない人生だけど、イカす仲間が奏でるは愛の歌」というところではメンバーの方を指さしながら桑田さんは歌っている。またその後の間奏のアンサンブルが最高。名曲。

ここからはいよいよ最後の大盛り上がりコーナー。その1曲目は、「Love affair~秘密のデート」。これはもう説明の必要もない名曲。メロディ、アレンジ、歌詞、完璧な曲。ライブではいつも映し出される横浜の夜景も最高。桑田さんは何度も客席の方に手を振っている。誰もいない客席へ。これはもう癖になっているのだろうか?それとも客席には何十万人のスピリットが集まっていることを感じているのだろうか?ちなみに今回もエンディングではロネッツの“Be My Baby”をフレーズを歌っていた。これも最高。

この次はまたビックリ。ガンガンの盛り上がりがくるのかと思ったら、なんだかジャズの演奏が始まった。何?と思ったら画面には「ボディスペシャルII」との表示が。一瞬何のことかわからなかった。インタールード的なものかと思ったら、そのまま「燃えるキミが妙にセクシーで♪」と歌が始まった。「スキップビート」みたいな感じもちょっと感じさせる粋なアレンジ。これはこれで十分楽しめる。もっと聴いていたいと思わせる演奏だったが、2番からはギターのイントロでいつもの「ボディスペシャル」へ!やっぱりボディスぺはこれが最高!!エンディング前の「AiAiAiAi~Oh Yeah!」のところはもう会場にいるみたいにノリノリに!

こうなると予想できるのはエロソング連発。次はやっぱり「エロティカセブン」。セクシーなダンサーもたくさん出てきて、もう大騒ぎ。な気分。

次は大好きな「シュラバ・ラ・バンバ」かと思ったらそうではなくてBOHBO No.5。この曲はエロ・ソングというよりは人間の根源的な生命力を歌い上げた力強い名曲だと思う。この日の演奏も最高だった。言い方は古いがこれぞロック!この曲の歌詞に「一人ひとりの命にゃ意味がある 生きてくわけがある」とあるが、これが一番言いたかったのではないか?

そして20曲目。おそらくは本編最後。ここはお約束のマンピーのG★SPOT。もうステージ上、客席おびただしい数のダンサー、スタッフ?が祭りのはっぴを着て、みこしを担いで、もう祭りのカオス状態。桑田さんも途中クレーンに乗せられて歌っている。ちなみに今回のマンピーヅラは中央に「嵐」の文字が入っていていつもより豪華バージョン。もうここだけは密とかなんとかいいじゃん、やらせてよ、って感じ。それとも最低1mのディスタンスはとっているのか?

「マンピー」が大団円を迎えると、間髪入れず年明けカウントダウン!そして年が明けてからは「1月1日」をみんなで大合唱。

そしてアンコールへ。

アンコールでは再びコントへ。これがほんと昔のドリフとかを思い出させるから楽しい。

会場の映像へ戻ると客席にはLEDライトで「2021」の文字が。そして再びメンバー登場。

そして、2021年を迎えて最初の曲は、なんと希望の轍!2021年になってほんの数分間だけど、はじめて聴いたのがこの曲でめっちゃハッピーな気分に!いうまでもなく「2021年を希望の年にしよう!」という桑田さんの強い決意や願いが込められているのだろう。こころなしかいつもよりも力強く聴こえた。「希望の轍」もライブで何十回聴いたかわからないけど、この日の演奏は忘れられない、永く記憶されるであろう名演となった。ちなみにエンディングは最近のライブバージョンではなくて、CDのエンディングに近く、ちょっと厳かな感じだった。

アンコール2曲目は間髪いれず「夕方Hold On Me」。これは2008年以来。この選曲も「互いに支えあって」というメッセージなのか?個人的には大好きな曲なのでめちゃ嬉しい。ほんとに何度も書くがこのライブは自分のツボにハマる曲が多くて、というかそんな曲ばかりでめちゃ嬉しいライブだ!

そして最後のMCのあと、毛ガニの短い小ネタから聞きなれたパーカッションソロへ!そう、予想はできたものの勝手にシンドバッド!年越しでこの曲を聴くと、2018年の紅白を思い出すが、ここはまたあれを上回るカオス!和服の男女ダンサーがステージ上や客席まで所狭しと踊りまくる。2番の歌詞は医療従事者への感謝を込めた歌詞へ変更した「2021年コロナ禍バージョン」。しかし感度聴いてもこの曲の持つパワーは時を超えて強くなるばかり。

最後は桑田さんの「死ぬなよ~!!」のシャウトで大団円。

ライブの後は、全国各地で打ちあがられた花火がまた最高だった。このBGMは「SMILE~晴れ渡る空のように」。早くこの曲がリリースされる(それはオリンピック開催の時か?)ますように!

なんとも言えない元気と生命力を与えてくれるライブだった。サザンを聴き続けていてよかった、つくづく思う。このコロナ禍の中、年明け早々こんなに元気の出る体験はない。

桑田さん、ヒロシさん、原坊、ムクちゃん、毛ガニさん、サポートメンバーの皆さん、スタッフのみなさん、素晴らしい体験をありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています。

サザンオールスターズほぼほぼ年越しライブ「Keep Smilin’ 〜皆さんお疲れさまでした!嵐を呼ぶマンピー!」

1. 二人だけのパーティ

2. My foreplay music 

3. 東京VICTORY

4. いとしのフィート

5. 恋するマンスリーデイ

6. あっという間の夢のTonight

7. 君だけに夢をもう一度

8. 夜風のオン・ザ・ビーチ

9. Lonely Woman

10. YaYa〜あの時代(とき)を忘れない

11.愛は花のように〜Ole!

12.走れ!トーキョータウン!

13.世界の屋根を撃つ雨のリズム

14.栄光の男

15.はっぴいえんど

16.Love Affair〜秘密のデート

17.ボディスペシャルII

18.エロティカセブン

19.BOHBO No.5

20.マンピーのGスポット

年越し2021

アンコール

21.希望の轍

22.夕方HOLD ON ME

23.勝手にシンドバッド

金目鯛の煮付け

♫麗しいあなたと共に生きられる

こんな俺だけどありがとう

毎日すれ違う気まぐれな風に

吹かれて飛ぶような

シャボン玉のように

彷徨い トンネル抜け出して

歩こう

どこまでも

 

この歌詞に象徴されるように、さりげない言葉に大切な日常を感じさせる曲ですね。

一年の終わりに、なぜか聴きたくなりました。

 

桑田さんとポール

桑田さんの名曲「オアシスと果樹園」の間奏で♫ボンボンブンブンとベースの音を口で真似るところがあって、かねてから桑田さんはこれを「ポールマッカートニーの真似なんです」と言っていた。

一体どの曲だろうと、ずっと気になってポールの曲を聴くときはいつも意識していたけど、どうしてもわからなかった。
それが先日ついに発見!
RAMに入ってる「モンクベリームーンディライト」!

また桑田さんが「優しい夜遊び」で「無人島に持って行くならポールマッカートニーの1stソロ『マッカートニー』だ」っていうからこの間からずっと聴いている。まだ充分理解したとは言えないけど、シンプルなホームレコーディングという感じで内省的な感じが、桑田さんの1stソロですやはり小さいユニット(桑田さん、小林武史さん、藤井丈司さん)で作られた『KEISUKE KUWATA』に通じる気もする。以前はなんか地味なアルバムという印象でで今まであまり聴いてなかったけど、JUNKとかmaybe I'm amazedこれは昔から好きだけど〜everynightとかメチャいい。
「Woo You」などロバートジョンソンのブルースみたいで聴きどころ満載。当初サブスクで聴いてたけど、ついにリマスター盤のレコードを購入。これがまたいい。

 

 その翌週の「優しい夜遊び」では無人島には「RAM」「ワイルドライフ」を含めた3枚持っていきたいというのでまた聴いてみた。驚いたのは、サザン〜桑田曲と同じタイトルの曲がいくつもあること。
「ディアボーイ」「ロングヘアードレイディ」「マンボ」「アイアムユアシンガー」「ディアフレンド
さらに「ビップボップ」という曲はサザンの「MR.ブラックジャック」にそっくりで、盗作と言われても言い逃れできないんじゃないか?というくらい。
 いかにこの時期のポールに桑田さんが影響を受けていたかということがよくわかる。この頃桑田さんは高校生くらいで影響を受けやすい年代だったということもあると思うけど、この辺り、個人的には大発見だった、というお話。

 

「真夏の果実」のカバー

 ジャズボーカルが聴きたくて“Apple Music”さまよっていて見つけた。

SHANTIの「真夏の果実」。

聴いてみたらアコースティックギターのシンプルなアレンジに英詩の「真夏の果実」で、これがイイ♪。この女性シンガー、見た目はどうみても日本人なのに英語がうまい。

ってちょっと調べたら、元ゴタイゴのトミースナイダーの娘だって。しかも留学経験があるとのことでそりゃ英語がうまいはず。はて!ここまで来て気づいた。

桑田さんのソロシングル「東京」のカップリングで「EBOSHI RADIO STATION」という曲というかDJ風の曲紹介があって「可愛いミーナ」につながるんだけど、あのDJが“Hi, this is SHANTI.”って言ってたぞ。あのSHANTIってもしかしてこのコなのか??レコード会社のサイトでプロフィールを読むと「桑田佳祐、・・・・・・(他のミュージシャンの名前がずらり)」とコラボレートって書いてあるし。

トミースナイダーといえば、桑田さんの作る詞の英語部分をよく手伝っていてクレジットに「英語補作詞:Tommy snyder」って出てくる。

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 それはまあいいとして、SHANTIの歌う「真夏の果実」には感動。オリジナルとはまったく違う表情でこの曲を表現していて、アレンジもシンプルだけにメロディ等この曲の良さがよりストレートに出てるかも。

 またそこで改めて感じたのは「真夏の果実」ってすごい曲だなぁってこと。音域も広く、構成は複雑で後半のサビなんてめちゃ歌いにくい。シンガーにとってはきっと征服欲を掻き立てられるような曲なのではないか?

 他の人の歌を聴いて曲のよさを再発見というのも音楽の醍醐味のひとつか。

HAPPY

昨日の「やさしい夜遊び」はビートルズ特集。

そこで初めて知ったエピソードが。

ジョンレノンがhousehusband をやっていた1978年。レノンはヨーコとともに日本に遊びに来ていて、葉山かどこかのカフェいる時に日本人のファンにデビューしたばかりのサザンの「勝手にシンドバッド」を聞かされたのだとか。

そしてレノンが言ったひと言が…

“HAPPY”

 

今サザンの2020年の特別ライブを改めて観ていて、勝手にシンドバッドを聴いて感じた。

“HAPPY”

 

さすがレノン!サザンの魅力をすでに見抜いていたのか!!

サザンオールスターズ特別ライブ2020 「Keep Smilin'~皆さん、ありがとうございます!!~」レポート

注目のオープニングは“YOU”。ライブではおなじみの曲だけれど、2013年の「灼熱のマンピー」以来か。また2008年の横浜日産スタジアム無期限活動休止ライブでオープニングで演奏されたのが強く印象に残っているが、今桑田さんは“YOU”に誰を思うのか?これがこのライブをひと言で言い現わしているのかもしれない。

最初の3曲はライブの構成上常に重要。2曲目にきたのはM2ミス・ブランニュー・デイ。おなじみの曲だけど、ここでくるとは。でも考えてみると2008年日産スタジアムでも1曲目YOU、2曲目ミスブラ、という流れは同じだった。

このライブは当然ながら観客がいないわけで、無人の(カメラとか音響とか、スタッフはいるけど)客席を映して無観客をアピールするシーンももちろんある。でも観客がいない分、観客席さえも演出に利用していて、この曲では観客席に照明を設置して床から天井に向けてたくさんのパーライトを照射し、それをまた映像で映すことで普段にはない映像演出を行っていた。

3曲目は、今回のライブの性格上めっちゃ盛り上がる曲で人々を元気づける曲だろうと予想していた。「ロックンロール・スーパーマン」か「希望の轍」か?と思っていたらM3「希望の轍」!今、日々この曲を聴いて元気を出してるという人は多いだろうけど、ここで生で聴けるといっそうこの曲の力強さに引き込まれてしまう。もう完全にいつものライブみたいに集中している自分がいる。大サビの歌詞を「大変な毎日をご苦労様〜」と変えて歌っていた。

この後はいつものようにしばしMCを挟んで次のパートへ。MCも誰もいないところへ話しかけているようでちょっとやりにくそう。

そしてM4 BIG STAR BLUES〜ビッグスターの悲劇!ライブでは2014年の年越しライブのオープニング以来!この時も映画館でのライブビューイングだったので会場で生で聴けたのは2005年の「みんなが好きです」ツアーが最後か。個人的に1981年サザンのライブ原体験とも言える曲でこの曲でサザンのライブにハマったとも言える曲なので、こうして今でもライブで演奏してくれることがメチャ嬉しい!

続いてはM5 フリフリ65!この曲も確か2014年の年越しで演奏して以来。BIG STARと同様に60年代のロックンロールをベースにしていてシンプルでソリッドでカッコいい!家で観ていてもそうだけど、会場にいたら大盛り上がりで狂っていたかも?

M6 朝方ムーンライトは打って変わってクールに。でもこれも久しぶり(たぶん2008年以来)だし大好きな曲なのでクールではいられない。後半のI love you cause you treat me right 〜というパートは日本語で横浜を連想させる歌詞に変えて歌っていた。

M7 タバコロードにセクシーばあちゃん

この曲は2013年のサザン復活ライブで演奏していた。デビュー当時に近い1980年の曲だけど、いまだにライブではお馴染みの曲。

M8 海 このイントロはいつ聴いても参ってしまう。本格的な夏が近づくこのころだからだろうか?またあの2013年復活ライブのオープニングを思い出してしまうからか。これも大好きな曲なのでここで演奏してくれて嬉しかった。

M9 夕陽に別れを告げて この曲も80年代。考えてみるとこのパートのコンセプトは「昔のサザンをリラックスして楽しもう」という感じか。この曲もサザンらしい曲で桑田さんの思い出が歌い込まれているのかもしれないが、この曲を聴いて個人的な思い出に浸る人も多かったのでは?僕も、ついこの曲が発表された85年当時のことや2008年のライブでアコースティックセットでうたわれたことを思い出しながら聴いていた。

そして次に来たのは前半のハイライト、M10シャララだった!クリスマスソングのようなイメージの強いこの曲をこの時期に演奏するのが意外だった。でも桑田さんと原坊のデュエットは やっぱり微笑ましいし嬉しいし、この曲もライブでは久しぶりなので感動。あらためてサザンっていい曲多いなぁ。

このパートはお馴染みの曲が多くて安心して楽しめる。そしてなぜか、古い曲が多い。それもリラックスできる一因かもしれない。

ここからはメンバー紹介。でもいつもとちょっと違って各メンバーのソロまわしでのメンバー紹介。一通り終わって桑田さんが「俺のソロがないじゃないか」とクレームをつける一幕も。

そして楽しい小芝居とラテンナンバーのインタールード?を挟んで次のパートへ。

このパートの最初はM11「天井桟敷の怪人」でびっくり。ダンサー登場。この曲はアルバム」「葡萄」の中でも特に目立っている曲ではないけど個人的には大好きな曲で超嬉しかった。

ここで4〜5曲あってそのあとバラード、そして後半の盛り上がりという構成かと予想していて、これ以降ちょっとマニアック路線にいくのかと思ったらM12「愛と欲望の日々ではじける。ダンサー登場でここはさらに盛り上がる。この曲も最後の「それ行け、ニッポンの皆様。Whatcha gonna do is to dance!」という歌詞でわかるように人々に元気を与える曲。この曲のギターソロはいつも桑田さん。

さらに次は久しぶりのM13 「Bye Bye my love」にびっくり!さらに懐かしい路線できた~!この曲も2008年の「大感謝祭/無期限活動休止ライブ」以来だろうか?

M14「真夏の果実 引きの映像で、観客のいないガランとした横浜アリーナのステージでしんみりとこの曲が演奏されている画があったけど、この状況の中心のこもった演奏と歌だった。いつもはファンの手首に着けられているたくさんのLEDライトが今回は客席に置かれていて、それがここではじめて光りはじめた。前のパートから、というかオープニングから、2015年の「天井棧敷の怪人」を除くとずっと80年~91年までの古い曲ばかり。それがここで一つのクライマックスを迎えたと言える。「真夏の果実」って名曲だな~って改めて感動させられた瞬間。

M15「東京VICTORY」はやはり今回のライブを象徴する曲だろう。OH,OH,OH〜というコーラスではメンバーだけでなくステージ袖や音響照明ブースにいるスタッフまでもが手を突き上げているシーンが映し出される。客席には誰もいないけど、配信を観ている(50万人ともいわれる)多くの人達も同じことをしていただろう。もちろん自分も。この強烈な一体感。このライブが音楽業界イベント業界にも一石を投じるものであるなら、この時この場で手を突き上げながら聴いていたスタッフも感じるものがあったのではないか?またもちろん我々一般のファンもこの曲を聴いてみんなが前向きな力を得ることができたと思う。凄い曲だ。

この曲ではいつものミラーボールに加えて、会場に聖火が設置されていた。

M16「匂艶The Night Club」が間髪入れず始まる。これもサプライズで僕は狂喜。この曲も80年代の曲だけど、桑田さんもお気に入りなのか?2014年、2015年そして今回と、最近になってまたよくライブで演奏されるようになっている。「東京VICTORY」に続いてのミラーボールや、ディスコの雰囲気をイメージさせる照明演出が印象的。

M17 「エロティカセブン」サザンの全シングルの中で「TSUNAMI」に次ぐ2番目の売り上げを誇る人気曲。ライブでは仮面をつけたダンサーがたくさん出てきて盛り上げる。

M18「マンピーのG☆スポット」やっぱり来たか!この曲は2013年のライブのタイトルとなって、すごい演出で盛り上げて以来単なるエロソングというより強烈な生命力を感じさせる曲になっているのでやはりこのライブには欠かせない?今回の「マンピーヅラ」はなんと「悪病退散!」というメッセージとともに疫病を退治すると言われる妖怪「アマビエ」のイラストが。これはすごい。ビキニのセクシーなダンサーも「G」マークの入ったマスク着用。

そして1978年6月25日のデビュー曲M19 「勝手にシンドバッド!ステージ上はもちろん誰もいない客席までダンサーやはっぴ姿のスタッフが入り乱れて、さながら祭りのよう。2018年のあの伝説の紅白や昨年のツアーのアンコールを思い出すような大騒ぎ。2番の歌詞を一部コロナに関するメッセージに替えて歌っていた。

やっぱり最後はこうなるよね~。という大団円というか期待通りの大盛り上がり。この盛り上がりを体験したくて僕たちは何度もサザンのライブに脚を運ぶ。

そしてアンコールへ。アンコールではLEDライトを使って客席に「KEEP SMILIN'」のメッセージを表示。やるな~。大事だね。KEEP SMILIN'。

再びメンバー登場。KEEP SMILIN'のTシャツにみんな着替えている。そして注目のアンコール1曲目はEn1 「太陽は罪な奴。夏の季節感を意識か。この曲もライブではひさしぶりだけど、軽快なノリがうれしい。

En2は今回一番聴きたかった曲のひとつロックンロール・スーパーマン!この曲も「東京VICTORY」と同じでサビで大きく手をウェーブさせる動作が会場の一体感をいやがおうにも高めてくれる。今回ステージ背景の映像でめずらしくスタッフの作業風景を映したりスタッフが曲に合わせて手をウェーブさせる様子を映したり、この曲のそんな特徴をよく表現していた。いつもこの曲には元気にさせてもらえる。サザンの曲の中でも重要な曲の一つ。

この曲のライブでの見どころが間奏での桑田さんと斎藤さんのスライドギターの競演。いつも隣に並んで楽しそうに演奏しているけど、今回は桑田さんが斎藤さんに「ちょっとディスタンスをとるように」と制するようなポーズを。でも演奏はいつものように息が合って最高だった。

そして桑田さんの短いMCでこの状況に関するメッセージがあって、最後の曲です。と紹介されたのがEn3「みんなのうた今回のあのインタールードは「デビューして何度目の夏が来ただろう?」で始まり「人生は世の中を憂うことより素晴らしい明日の日を夢見ることさ」で「みんなのうた」につながる。涙なしでは聴けなかった。この曲もライブでの一体感と盛り上がりではサザンの曲の中で1・2を争うと思う。今回のライブではぜったいやってくれると思っていた。でもアンコールの最後とは!屋外の会場なら派手に放水するところだけど、今回は水鉄砲!

考えてみたら「いつの日かこの場所で逢えるなら、やり直そう」「忘れかけた真夏の恋人はYOU」という歌詞は今のこのタイミング、会場でのメッセージとして最高、まるでこのために作ったみたい。

全22曲。約2時間というライブはサザンとしてはコンパクトだけど、急遽行われることになったこの状況、また誰も経験したことのない配信ライブという形態を考えると十分に濃密な時間だった。終わってみるといつものライブと変わらない幸せな脱力感と充実感。

 

今年はサザンのライブは見られないのかな?と思っていけど、こんな形でライブに参加できて最高だった!
エイズ東日本大震災、そしてコロナ。困難な時にいつも先頭に立って世の中に元気を与える桑田さんをはじめメンバー、スタッフの皆さんを心から尊敬する。今は音楽業界、イベント業界申し訳大変だと思うけど、業界の他の皆さんにも大きな勇気と指針を与えたのではないだろうか?
長いことサザンを聴いてけど、ファンとしてこんなに誇らしく思ったことはない。
今回のタイトルに込められたメッセージをそのままお返ししたい。こちらこそありがとうございます!!

桑田さんの最後のコメント「やっぱり横浜アリーナはファンの皆さんがいないと寂しいです!」が印象的だった。

またライブが終わったあとの配信のエンドロールでは「SMILE~晴れ渡る空のように」が流れ、桑田さんたちの会場入りやリハーサル、スタッフが準備している様子などがずっと流されていた。こんな風にスタッフに焦点を当てることも非常に珍しく、これも今回のライブの趣旨を強く反映した演出のひとつで印象的だった。